元業担です。今回は、よくある話です。
私は憂鬱な気持ちで、ある部屋の前にいた。
今回は、常駐からの依頼で、ある女性従業員のAが、隣の部屋の住人B(同じく女性従業員)が、毎日狂ったように壁を叩く。静かにしていても…怖いから、話してみて欲しいとの依頼だった。
最後に依頼してきた常駐が、
「気をつけてね、彼女(B)、精神を病んでるみたいだから…」
と言った…。
腹を括って、呼び鈴を鳴らす。
しばらく後、
「はい…」
と低い声。
「すいません、○○の業務担当です」
と言うと、ドアが開いてBが顔を出した。
正直、ゾッとした。
色黒の顔に、刺すような目…まるで蛇だ。全身の毛が逆立つ。
「すいません、実は常駐の方からですね…」
と来訪した理由を伝えて、真偽を尋ねた。
Bは、
「いえ、そんなことしてません」
と言う。
あまり刺激したくない、本能が警告していたので、「分かりました、そんな話を聞いたんで確認したかっただけです」と言って、帰った。
常駐に報告すると、Aさんが出勤してきたので、経過を報告する。
「嘘ですよ!毎日毎日、凄いんですよ!」
Aは怯えている。
とりあえず、話はしたからしばらく様子を見よう、ということにした。
Aは、かなり心配していたが。
しかし、この問題は3日後にアッサリ解決した。
先輩のYから、Bが退職して地元に帰ったと言ってきたからだ。
「悪いけど、彼女の部屋に従業員証と保険証があるはずだから、回収してきてよ」
とYは暢気に言う。
仕方ない、行ってくるか…私は再び、彼女の部屋に行った。
マスターキーで、鍵を開けて部屋に入る。
同時に、ゾッと寒気がして息苦しさを感じた。
これは、霊の気配じゃない。殺気だ。
部屋の中は、殺気に満ちていた。
Bはもういないのに…。
ドアポストにあった鍵を回収、早く逃げたいが従業員証と保険証が無い。
部屋に入ると、テレビの横に置いてあった。
回収完了!
ふと、壁を見た。
ん? 何か変色してる…黒っぽいな…。
気づいた瞬間、吐き気がした。
それは、明らかに血の跡だった。
Aが言ってたことは真実だった。
Bは、毎日毎日、手から血が出るほどに壁を叩いていたんだ…。
慌てて部屋を飛び出して帰った。
またもや未解決だが、Bが何故壁を叩いていたかは分からない。
単に病んでいたから?
それとも…?
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話