中編3
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ネコ達の光る目

 あれはまだ小学校5年生の頃のことでした。

動物が好きだった私はよく給食のパンやおかずの残りをこっそりとビニール袋に忍ばせては

放課後、通学路の帰り道で見かける野良犬や野良猫にエサとして与えていました。

 そうこうしているうちに私が近所を歩くたびにどこからともなく野良猫が集まっては足元にすりついてくるようになり、

 すっかりなつかれた私はますますそのネコ達をかわいがるようになりました。

 そんなある日のことです。

私は風邪をこじらせ、高い熱が出てしばらく学校を休みました。

 家からも1歩も出ることができずふとんの中で

考えるのは餌付けをしていた野良猫たちのことでした。

 今頃おなかをすかせて私が通るのを心待ちにしているのではないかと思うと、胸が痛くなりました。

 

 その日の夜のことです。

 私が熱のせいで寝付けずにいると、

部屋の窓をカリカリカリッと何かでひっかくような音と猫の鳴き声が聞こえてきました。

 私が何の音だろうかとカーテンを開けると、

そこに一匹の猫が私の部屋に入ろうと窓をひっ掻いている姿がありました。

 その猫は私が特にかわいがっていた野良猫で、

黒い毛並みと長い尻尾が美しく胸のあたりに特徴的な三日月形の白い模様があるため、

私は「ルナ」と呼んでいました。

私「なあに?あなたお見舞いに来てくれたの?」 私は久しぶりに見たルナにうれしくなって、

彼女を部屋に迎え入れようと窓を開けてギョッとしました。

ベランダの外にいたのはルナだけではありませんでした。

 ベランダや家の庭に20数匹の猫が夜陰に目を光らせて私を取り囲むように鎮座していました。

 私はそのあまりに不気味な光景に恐怖を覚え、体が硬直してしまいました。

 私が動けずにいるとルナを先頭にベランダにいた猫たちが一斉に私めがけてとびかかってきました。

 私はよろけて後ろに倒れこむような形になり、したたかに頭を打つとそのまま気をうしなってしまったようです。

私が寒気を覚え目覚めると、猫たちの姿はすでになく、

体を起して開けっぱなしであったろう窓から外の様子を窺うと、

東の空が明るみを帯びてスズメの鳴き声がさえずっていました。

私は昨日見た猫たちの光る目を思い出し空からベランダの床に目を移し、背筋が凍りました。

そこには大量の虫や魚、鳥の残骸が床一面にわたってひろがっていたのです。

さらに私の体やパジャマには大量の猫の毛がついていました…。

その日以来私が猫に餌付けをすることはなくなり

ルナやほかの野良猫をみかけても近づくのを避け見かけたら逃げるようになりました。

後になって冷静に考えると、もしかしたら猫たちは本当にお見舞いに来てくれただけなのかもしれません。

大量の死骸は猫たちなりのお見舞い品なのだろうし、

体中についていた毛は窓のそばで気絶していた私を猫たちが身を寄せ合って温めていてくれたのではないでしょうか?

だとしたら、私はなんてひどいことをしてしまったのでしょう…。

夜道で猫たちの光る目を見る度にこの体験を思い出します。(終)

 

怖い話投稿:ホラーテラー 実は犬好きさん  

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