短編2
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手鏡

この間、都会の方に行った際道を間違えたのか人気のない通りに出てしまい、不味いなぁ…と思っていると古ぼけた看板が立つアンティークショップらしき店を発見した。

アンティーク系の雑貨は好きな方だったので迷わず店に入るとこじんまりした店のわりになかなかいい商品が目白押しだった。

俺は迷って正解だったな、なんてちょっと得をした気持ちで商品を物色していると安い手鏡を見つけた。

手鏡は値段のわりになんていうかゴージャスで金色だったんだが、錆ともいえる古ぼけた色がとても美しく俺は男の癖にこの手鏡が非常に欲しくなった。

それで同じくアンティーク好きな彼女にやろう、とかちょっと自分に言い訳をして手鏡を買おうとおっさんが座っているレジらしきところに向かった。

おっさんはプルプルと震わせながら手鏡を受け取り、目に近づけ、あぁこのこですか、と言って俺に手鏡を渡した。

変なおっさんだと思いつつ財布を出しているとおっさんはニタァと笑って、

「このこ、大事に大事に扱ってあげとくれな、お兄さん。」

と俺から金を受け取り、釣りを渡すとおっさんは店の奥に引っ込んでしまった。

余計に気味が悪くなって俺は足早に店を出て来た道を戻って帰宅した。

それからなぜかあれだけ欲しくてたまらなくなった手鏡だったのに、部屋の棚に置きっぱなしにして俺はすっかり買った事も忘れていた。

思い出したのは何ヶ月かたったある日、彼女を久しぶりに部屋に入れたときだった。

同じくアンティーク好きな彼女が目立つところにある手鏡を見逃すハズはなく、手鏡を手にしてはしゃいだ。

「すっごい綺麗な手鏡じゃん!これどうしたの?」

俺は本当にえ?って感じだった。俺手鏡持ってたっけ?なんて思いながらみるとあの時買った手鏡だった。

「ね?これちょうだい!すっごく欲しい!」

普段はあまりおねだりとか物を欲しがらない彼女が執拗に欲しがるもんだから俺もまいっか、って感じで快く手鏡を彼女に譲った。

それから彼女はことあるごとに手鏡がいかに素晴らしいか、そしてそれを買い自分に与えた俺がいかにいいやつかを説いた。

俺は、あーそうよかったね、と少し彼女がうざったくなって彼女の話を適当に聞き流していた。

そんな感じでちょっとたったある日。真夜中に彼女から電話があった。

怖い話投稿:ホラーテラー 紫さん  

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