短編2
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業担と鳥男

信じて貰えない話ですが、実際に体験した漫画みたいな話。

「楽しそうだな、お前…」

私は、窓の外からニヤニヤ笑いながら窓を叩く男に呆れ半分で呟いた。

男と言ったが、コイツは人間じゃなくて幽霊。しかも、鳥と融合した、さしずめ鳥男…。

「無念ダ…無念ダ…」

と言いながら窓を叩く。笑いながら「無念」もクソもねーだろ!と思う。

「分カッテ…分カッテ…」

どうやら、何やら無念あって死んで、分かって欲しいらしい。

元気だったら、こんな異形の姿を見たら驚き叫ぶが、私は毎日毎日、鬼畜な家畜達(事業所の業担の先輩)に酷使されていて、日々の睡眠時間は3時間。

遂に頭がイカレたか…と思ったが、幻覚ではないらしい。

睡眠不足と過労で弱ってるところで、どこかで拾ってきてしまったらしい。

「何を分かって欲しいんだ?」

と尋ねるが、

「無念ダ…無念ダ…」

「分カッテ…分カッテ…」

としか言わない。

…無茶言うな!

地元の派遣会社の業担をしていた時に、従業員の寮に幽霊が出たという騒ぎがあり、行ったことはあるが、まさか自分が幽霊に遭遇するとは…。

しかもコイツ、鳥と融合してるせいか記憶が無いのか…私にはアホな子にしか思えない。

何故かコイツは、部屋には入れないようで、外から窓をバンバン叩く。

「分かんねーし無理!俺には何もしてやれん!他をあたれ!」

と言ったら、拗ねやがった。…なんかムカつく…可愛くねぇし。

しかし、疲労困憊な時にこんな厄介なモンに憑かれたら、間違いなく倒れてしまう。

さて、どうしたものやら…。

結局、何のヒネリも無く調べてお寺に行きました。

でも鳥男のヤツ、私がお寺に行くと分かった途端、何処かへと逃げてしまった。

完全にムダ足。

それっきり、鳥男は現れなかった。

今も何処かをさ迷ってるんだろうか?

早いとこ、成仏して欲しいが。

何のヤマもオチも無い話。

でも、実体験。

怖い話投稿:ホラーテラー 元業担さん  

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