短編1
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自分の中の闇9

もう このまま殺してしまおうか…。

何度も刺せば、いくらこの人でも死ぬだろう。

どうせ行く所なんて あたしにはない。

どうなったって いい…。

腹を抱え くの字になりうめき声をあげる母を、また蹴りあげようとした。

その時…妹の『やめてー!やめてよー!』と、泣きじゃくる声が聞こえた。

きっと さっきから泣いていたんだろう。

でも興奮状態だった私には、何一つ聞こえていなかったのだ。

そうだった。

私にとっては最悪な人間でも、妹には大切な母親なのだ。

…奪うわけにいかない

私は向きを変え、妹のもとへ歩みより 頭を触ろうとした。

すると怯えたように妹は、目をつぶり小さな体を震わせた。

『怖かったよね…ごめんね…』

触ろうとした手をおろし、それだけ言うと 私はそのまま外へ飛び出した。

悲しかった。悲しくて悲しくて、涙が溢れてきた。

母を刺した事がではなく、妹に最悪な形で拒まれた事が 悲しかった。

あんなに大切にしてきたのに、妹の心を傷つけてしまった…。

私は泣きながら 少し離れた隣の家に行った。

私を見た隣のおばさんは、血だらけの私の顔を見て悲鳴をあげた。

『どうしたの!一体何があったの!』

おばさんの後ろから私を見たお婆さんが、『救急車呼ばなくちゃ!!』と叫んでいる。

私は言った。

『母を刺したので…警察を呼んで下さい』と。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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