短編2
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自分の中の闇 終

しばらくした後、私は児童相談所へ送られた。

ここに来るまで、病院へ行ったり警察へ行ったりと目まぐるしい日々が続いていた。

私の服を脱がせた看護婦は、体中のあざや火傷の跡を見て 涙ぐみ、そして肋の浮いた体にそっと触れながら

『よく頑張ったね』

と言った。

児相では、心理テストのようなものをやらされたり

ひたすら絵を書かされたりした。

意味はよくわからなかったが、そんなのは どうでもよかった。

ここでは三食きちんと食べられるうえに、おやつまで出る。

夜も安心して寝られるのが嬉しかった。もう夜中に起こされ、殴られる事もない。

しかしここには 一ヶ月くらいしか居られないと言う。

まさか家に送り返されるのか?と心配したが、私が送られたのは児童養護施設だった。

ここは厳しい規則はあるが、学校も通わせてもらえる。

あんな事をした私が、教護院ではなく 養護施設へ行けたのは、児相の人達が余程頑張ってくれたんだろうと 今では思う。

とにかく私はその施設で、初めて自由を手に入れた。

食べれる自由 眠れる自由 話せる自由 そして笑える自由。

普通に過ぎて行く毎日が、何より嬉しかった。

そして高校を卒業し、施設を出て働き、しばらくして結婚もした。

今の私は二児の母である。

子供達は私を 明るくて優しいお母さんだと言ってくれる。

私も、普段は虐待されていた事を意識することはないし 思いださないようにしているけれど…。

テレビで幼児虐待のニュースを見ると、まるでフラッシュバックのように 子供時代が蘇る。

そして私の中の小さな私が、『あいつを殺せ!』と暴れだす。

私は腹の底から溢れ出す、この黒い感情が恐ろしい…。

自分の子供達には、こんな私を絶対知られたくない。

墓場まで この闇を持って行きたいが…いつまで抑えられるか自信はない。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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