雨の日はとても憂鬱になる。
あの日は真夏なのにとても激しい雨が降っていた。
オレ『今日も雨かよ。
せっかくの休みなのによ。
』
その日は仕事も休みでせっかく地元に帰って来たのに遊んでくれる友人もいないし車もない。
しかし、このまま家にいるのもしょーがないから気分転換しようと思い散歩に行く事にした。
オレが住んでいる所は都会から離れている住宅街だ。
日中は人はあまり通らない。
ましてや雨が降っていると人なんか最初からいないと思えるぐらい静かなんだ。
ただ雨の音だけが鮮明に聞こえていた。
タバコを買ってコンビニで弁当も買って家に戻ろうとした時目の前に女性が立っていた。
雨降っているのに傘もささず立っていた。
しかもその女性、雨に当たっているというのに全く濡れてなかった。
顔色も悪い。
幽霊だ。
実は霊感の方は結構強く、こういう類いのは昔からよく見ていてる。
かといってあっちの方達は何かしてくる訳でもなくただ立っているだけだとか、同じ事を繰り返して最後に消えてしまう、というのが多かった。
今回も『またかぁ。
』みたいな感じで軽く流し帰ろうとした。
すると
(…ちゃん)
オレ(???)
その女性はニヤニヤした顔でオレの事を見ていた。
よく聞き取れなかったが名前?を言われたような気がして急に恐くなりオレは急いで家に戻る事にした。
玄関のカギを閉めて塩を撒いたオレは部屋に戻りガクガク震えてた。雨に濡れてなのか、恐怖のせいなのか分からないほど震えていた。どっちにしろこれじゃ部屋から出る事も無理だと思った。
オレは霊感がありよく見るのだが自分に危害を加えるような心霊体験は初めてだった。とりあえず少しでも落ち着こうと思いコンビニで買ったホットコーヒーを出そうと袋の中を見てみると弁当しか入ってない事に気づいた。走ってる途中にコーヒーとその他を落としていた。傘もコンビニに忘れて来てしまった。
オレ『マジかょ。最悪だし』
だんだん恐怖から怒りに変わり始めていた。(こっちは腹が減って30分も歩いてコンビニまで行ったのによ。何でこんな目に会わなきゃなんねーのよ。) オレは意を決して再びコンビニに行く事にした。弁当を買いに行く!傘も取りに行く!そしてまたあの女が現れて何かまた喋ってきたら一言言ってやる! オレは母親の傘を借りて家を飛び出した。
パニック状態で走ってたから弁当はグチャグチャ。あまりにも食えない形になってたしコーヒーやら何やら落としてしまったオレは怒りのあまり母親の傘を借りて外に飛び出した。外に出ててみたのはいいもの、あまりにも人がいないのでまただんだん恐ろしくなりあの女がいないかを警戒しながらコンビニに向かう事にした。
やっとコンビニにたどり着いた。普通なら30分位でたどり着くのに注意しながら行動したわけだからかなり時間をくってしまった。外もだんだんと暗くなるから不安もかなり大きくなっていた。とりあえず最初に持っていった傘を手に取り、弁当とホットコーヒーを買いに中へ入った。同じ弁当とホットコーヒーを買ったものだから店員さんに不思議そうな顔で見られたのが結構恥ずかしかった。
ようやくすべてが揃ったので店を出た時目の前の存在に違和感を感じた。
『…ちゃん』
あの女がまた最初と同じ位置に立ってニヤニヤしながらオレを見ていた。
オレ『また出たよ~。もう勘弁してくれよ!』
店員さんとお客さん『???』
オレ『あっ。すみません』
軽く頭を下げたがかなり恥ずかしかった。オレはその女を睨みながら歩いて行き横切ろうとしたその時。
『カっちゃん。』と今度は鮮明に聞こえた。
オレ『だから、カっちゃんてダレよ?人違いだから!頼むからオレにもう構うなっつーの!』
オレはその女に怒鳴りつけ再び今度は近くで目を合わせたがそこで女の異変に気づいた。雨が降っていたのでなかなか気がつかなったがその女はニヤついた顔の状態で涙を流していた。『カっちゃん。…カっちゃん。』と繰り返しながら泣いていたのだ。オレは訳が分からずその場を後にした。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話