中編2
  • 表示切替
  • 使い方

部屋にいる男

あまり怖くはないので、興味のない人はスルーして下さい。

私が19くらいの時の事です。

その頃一人暮らしをしていた私は、いつものように友達と 電話で長話をしていました。

『でね〜、テレビで見たんだけど 面白い話しがあったの!

蟻の話しなんだけど、働き者ってイメージあるじゃん?

でも一つの巣にいる全部の蟻のうち半分は、何にもしないで遊んでいるだけなんだって』

友達『マジで〜?』

『で、働いている蟻だけを集めて別の場所に移すと、また半分は遊び始めるらしいよ?』

友達『不思議〜!』

『へぇ〜!』

次の瞬間『のわぁっっ!』と 驚いた私は、受話器を落としてしまった。

受話器をあてていた耳とは反対側から、男性の感心したような声が聞こえたからだ。

慌てて周りを見回す…が、当然誰もいない。

受話器を拾い耳にあてると、友達が

『ちょっと〜。彼氏来てんなら早く言ってよねー!』

と言っていた。

……友達にも聞こえたんだ……

結局その日は いくら違うと言っても、信じてもらえなかった。

その日からしばらく経ち、あの声の事もすっかり忘れた頃。

友達がご飯を作ってあげると言ってきた。

洋食屋で働いている彼女は、新しいメニューを覚えるたびに その腕を披露してくれていた。

『今日は何作ってくれんの?』

『ステーキだけど〜、ちゃんとクランベする本格派!』

そう言った彼女はニッコリと私を見てから、手に持っていたワインを フライパンにトポトポと入れ、ガガッと動かした。

途端に上がる火柱に、『うわっ!』と 思わず声が出る。と同時に『おおっ!!』と男の声が聞こえた。

友達は目を丸くして私を見ている。

『…何?…今の…』

私は無言で首をかしげるしかなかった。

それを見た友達は、

『無理無理無理無理…』と呟くと 火を消し、さっさと帰ってしまった。

確実にこの部屋には誰かいる。

だけど不思議と怖くはなかった。実害がなかったからかもしれない。

姿が見えるわけでも 金縛りに合うわけでもなく、寒気すらしない。

仕事場のおばちゃんからニキロ程小豆をもらった時、つまづいて部屋にぶちまけてしまった時があった。

あ〜あ…と座り込んでいると、部屋の隅からバラーン!と襖に小豆が当たった音がした。

見るとその場所だけ、滑って転んだように 小豆がなかった。

見えないのでなんとも言えないが、きっと転んだんだろうと思う。

それから私は地元に戻って来てしまったので あのアパートがどうなったかわからないが、たまにふと 思い出したりしている。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

Concrete 59189e6fb4d79119a63e92183ffb92aeb8f46031afd97d5db060811ce15c35e6
閲覧数コメント怖い
19000
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ