中編3
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丑の刻参り

古くからある呪いのなかでひときわ有名なものが「丑の刻参り」だろう。

儀法については触れないが(自己責任で調べてね)

現代にも根付くものであるということだけは忘れてはいけない。

私がまだ地元で高校生をしていたころの話である。

当時私は反抗期ど真ん中ストライクであり

家に帰るのが夜中の2時3時を回ることなどしょっちゅうであった。

私の家の近所に地元の人しか知らないであろう小さな神社がある。

夏にはそこで祭りをしたり神輿を担いだりするわけだが、普段は人気のない寂しい場所だ。

ようするにたむろするには都合のいい場所で

その日も私たちは夜中遅くまでそこでタバコや酒をやりながら駄弁っていた。

そろそろ帰ろうかというころ

友人の一人が

「わり、トイレ」

といって神社の社務所(というかそまつなトタン小屋だったが)

の脇にあるトイレにいこうと立ち上がりその場を離れようとするので

友人A「おう」

俺「一人でだいじょうぶでちゅかー?」

などといって友人Bを見送った。

しばらくとすると友人Bが血相を変えて俺たちの所に駆け戻ってきた。

友人B「でででででっ」

Bはロレツの回らない舌で自分が来た方を指さしながらがたがたと震えていた。

A「お前どしたん?」

俺「大丈夫か。」

Aと俺はBのただならぬ様子に思わず腰を浮かすと

B「でっでたんだよ。ユーレイ!!」

Bはようやっとのことでそういうと

B「はっ早く隠れよう。も、もうそこまで来てるかも。」

すると

ザッザッザッザッ

ザッザッザッザッと

砂利道を擦るように歩いてくる音が聞こえてきた。

俺「おい、まじかよ…。」

A「やべーんじゃねーか。これ。」

B「き、きたっ。」

俺たちが半ばパニックになるのをよそに音はだんだんと近づいてくる。

俺「隠れるぞ。」

そういうと俺は本堂の軒下に滑り込むようにして入った。AとBも俺を習って3人かたまって軒下で丸くなった。

俺は音のするほうに顔をむけるようにして軒下から様子をうかがっていると

白装束に見をくるみ

頭に白い鉢巻をして、ろうそくを角のように刺し

手には金槌とくぎを持ち

首から藁人形をかけた女がゆっくりと神社の砂利道を歩いてきた。

AとBも女のただならぬ姿に口を押さえて一言も発しなかった。

女は本堂の脇を抜けてご神木のある奥へと歩いて行った。

コーン。コーン。コーン。

ご神木のほうから何かを打ち付けるような音が聞こえてきた。

俺「なんなんだよマジで。」

B「俺がみたのアレだよ。」

A「丑の刻参りってやつじゃねーか?」

B「やばいよぜったい。早く帰ろう。」

俺「ばかっ今出てったらみつかるかもしれねーだろ。」

A「女が帰るまでまつのかよ!?」

俺「そうするしかないじゃんか。」

B「俺、俺帰る!」

そういうとBは軒下から勢いよく飛び出すと

そのまま神社の入り口めがけて猛ダッシュしていった。

つられて俺とAも後を追うようにして軒下からはい出すとBを追いかけてダッシュしてた。

ザッザッザッザ

ザッザッザッザ

「まあああてえええい。」

女の恐ろしい叫び声が聞こえた気がした。

ザッザッザッザッ

ザッザッザッザッ

怖くて後ろは見れなかった。

神社の鳥居をくぐったところで不意に音は止み女の怒声も聞こえなくなった。

それでも俺たちは駆けるのをやめず途中Bに追いついてからも走り続け

神社からだいぶ離れたところでようやく走るのを止めた。

女は追いかけてきてはいなかった。

震えるBを送り、その日はそのままBの部屋に泊まった。

正直一人で帰るのはごめんだった。

その日以降俺たちは神社に絶対近寄らず、深夜に出歩いてたむろするのもやめた。

また3人の間でこの話をするのも禁止となっている。

怖い話投稿:ホラーテラー ケチャマヨさん  

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