短編2
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少年の想い 6

パトカーに揺られながら山道を登る。

車で来てみて この道のりはこんなに 綺麗だったのか、と思った。

ふと 今日見た夢を思い出した。

『□□寺…』

思わず呟いていた。

『ん?どうかしたか?』

助手席に乗っていた 年輩のお巡りが、後ろを振り向き聞いてきた。

『あ、いや何でもないんです…。ただ、夢で父が□□寺の事を言ってたので…。

ホントにあるのかな、と思って。』

『あるよ、□□寺。』

今度は 運転していた若いお巡りが話してきた。

『□□寺がどうしたの?』

僕はもう一度、夢だから、と念を押してから 昨日の夢を話しはじめた。

話しを聞き終えた年輩のお巡りは、

『ん〜…。』と唸り、次に手帳をぺらぺらとめくり、携帯を何やら操作してから いきなり携帯を僕に手渡した。

『え?なんですか?』

『□□寺の番号はもう入れてあるから、電話してみなさい』

『は!?』僕は驚いた。

『ゆ、夢の話しって言ったじゃないですか!』

『いいじゃないか。向こうが何も知らないなら、間違えました すみません、で済むだろう?

まだ目的地には着かないんだから、やって損はしないさ。』

そんな馬鹿な。しかし、早くとせき立てるので 僕は通話ボタンを押してしまった。

すぐに受話器から『もしもし』と、お爺さんの声が聞こえた。

『あの、あの…僕、〇〇と言います』

パニクって 上手く話せない。

『〇〇…?しげちゃんとこの息子さんかい?』

『は、はははい!そ、そうです!』

『そうか…わしのとこに連絡が来るという事は…。

そうか…。大丈夫、安心しなさい。今からそちらに向かうから、夜には着くだろうよ』

そう言うと 電話は切れてしまった。

呆然としている僕に、お巡りが『どうだった?』と聞いてきた。

『なんか…父の事を知っていたみたいです。』

何故かお巡りは うんうんとうなずいていた。

しばらくすると 僕が自転車を盗んだ家に到着した。

家の人が出てくる。30代くらいの女の人だ。

お巡りとその人が話している間、僕はパトカーの中で縮こまっていた。

少しして出てくるように言われ、俯きながら女の人の前に行き謝ろうとした時、

『ゴメンね〜、うちの母が勘違いしちゃって!

あたしが君に貸したのに、盗られちゃったと思ったみたいなの』

と その人は言った。

は?え?

僕が目を丸くしてると、若いお巡りが下がってと言うように手で少し押した。

『じゃあ、このまま家に送ります。』

と言って、パトカーにまた乗せられた。

僕が何か言おうとすると、若いお巡りが小さく首を振った。

僕達はアパートに着くまで、ずっと無言だった。

次が最終話です、長くてすみません!

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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