短編2
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豪傑が震えた日

私と同じ年の従姉妹は小物の多い親戚中でも豪傑で、

痴漢を撃退した等の武勇伝をいつも聞かされてました。

就職した彼女が引越ししたアパート3階建ての1階の部屋は、卒業した大学のすぐそば。

卒業しても大学のサークルの後輩とカラオケいったり、家に集まって飲んだりして

半ばたまり場になっていたそうな。

夜、終電なくした子なんかが先輩泊めて〜と頼って来る事もよくあった。

そのため、玄関の鍵もベランダのサッシも鍵もせず、部屋を好きに使わせていたという。

最初の半年くらいは楽しいし、お酒もつまみも後輩の持込みでたすかったのだが、

やっぱり学生と社会人は違う。

だんだんペースを合わせるのが面倒になってきて苛ついてきた頃のこと。

その日、残業続きの彼女は疲れきって早めにベッドに入った。

するとサッシの窓の方から音がする。

ガタガタと立て付けの悪いサッシを開けようとする音だった。

マジかよーと思った彼女、窓に向かって

「うっせぇぞ!今日は機嫌が悪いんだ、とっとと帰れっ!」

と叫んだそうな。

すると開きかけてたサッシをピシャンと閉める音がして、それっきり静かになった。

あーやっちまった、どうしよう・・・

でも潮時かもしれないなぁと反省しつつその日は寝てしまった。

翌日、さすがに気になったので会社から後輩のリーダー格の子に電話してみたら

今、四国にいるという。

サークルの旅行だった。2泊3日の2日目。

メンバーを聞いたら、家によく来る面子は全員一緒だという。

じゃ、昨夜のアレは誰だったの・・・と不思議に思ったが深く考えないで家に帰った。

帰り道を歩くと、なにやら物々しい雰囲気に包まれている。

家からすぐのアパートの前に、もの凄い数の赤灯を回したままのパトカーと警察官がいた。

野次馬のおばさんに何があったのか聞くと

「強盗殺人だって、怖いわね。昨日の夜だったらしいわよ」

そのアパートの大家さんが窓が割れているのに気がついて通報して発覚したらしい。

それを聞いてさすがの彼女も足が震えてその場にしゃがみ込んだそうな。

強盗殺人犯が捕まる報道があるまで、彼女は雨戸まで締めて夜を過ごしたという話。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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