中編4
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星の降る里

現地に到着、移動の車から降りて空を見上げる!この空は?今にも降り出しそうな星達☆

果てしない夜空に輝く星、星、星!

空を星の河が流れる…あれが天の川か?

手を伸ばせは星が掴めそうだ……ここが天に最も近い場所かもな…。

この夜空を見て、この地で神が乱心しているとは想像すらできない。

神は何を考えているのかな…。交渉だけで終わってほしいが……

現在、ここに巨大ダムを建設予定の現場がある。

国土交通省の計画によると、限りなく自然な形を残したままの、湖の様なダムになるとのことだった。

この政策が、地元の神の機嫌を大きくそこねたようだ。

今更、機嫌をそこねられても困るのは、信仰心の強い地元の民達なのだが…。

この星地の神を裁きたくはないな…

一週間前のことだ、私は局長室に呼ばれた。異業者との交渉を指令だ。

農林水産省の職員が行方不明になっているらしい。

問題はその職員も異業者専門職であったこと、交渉相手が龍神系だということ…だ。

龍神系はプライドが高い厄介な神である。簡単にすぐ交渉できるわけではない。

異業者に会う前に、龍神の上位神である水龍神と交渉しなければならないだろう…。

現地に向かう前に、紀伊へと向かい水龍神と交渉にあたることにした。

「那智の滝へ」

こにきたのは何年ぶりだろう…水龍神に会うとなると、さすがに緊張するな…。

日本一を落差を誇るこの滝壺に飛び込むなんて、関係者以外に見られたら自殺と勘違いされるだろう…さぁ、行くか…(飛び込む)

物凄い水流だ…滝壺は深く深くどこまで潜れば底に着くのかわからないほどに深く…やがて光も全く届かない漆黒の闇になる…。

闇の先に、光の穴が見えてくる、光の向こう側に、あの方がおられる。

あの方を知る人は、ほとんどいない。

会いに行く者など皆無だろう。

滝壺の向こう側に泳ぎ着くと立派な神殿がある。どのようにして建立したのかは、私にもわからない…。

神殿の前に座り、あの方を待つ…。

座って待つこと一日目、身の毛もよだつ亡霊達が俺を襲う!

凄まじい念をもった顔をしている…

「ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ」

「ノロイコロスヨ…」

「ヒヒヒ…ヒヒヒ…」

気味の悪い笑い声を発しながら俺の回りに浮かんでは消える(無視だ…無視…)

二日目、美しい亡者さんが俺を誘惑してくる

「サ〜オイデ〜キモチイイヨ…ガマンシナイデ〜サ〜オイデ〜」

このての誘惑には先祖代々にわたりとことん弱い…(無…視…残…念…無念…無視だ)

三日目、醜い亡者どもが、ゾロゾロと俺を取り囲みだした。

「ムカエニキタゾ…」

「ジゴクニオチテキナ…」

「ヘヘヘヘヘ…」

見た目の悍ましさ、鼻をつく悪臭…そろそろ俺もいらついてきた…(無視だ…無……腹立つ)

この神聖な場所にいつから魑魅魍魎が、出入り出来るようになったのか…?

久しぶりに、あの方に舞を披露するか…桜花乃舞!

ヒラヒラ舞う桜吹雪の様に緩やかに舞い踊り、亡者どもを祓い切る!

「パン、パン、パン」

「相変わらず見事だな!神器を持たずとも強いの」」

やっと、お出ましか…

「ここに来るのに神器は不必要かと…しかし、悪戯がすぎますよ!亡者達が可哀相じゃないですか、奴らとて痛みは感じてるのですよ…。」

「お前の日本武踊が観たくてな…お前(人間)がこの社に来るのは数百年ぶりだしの…」

「まだまだ未熟な舞です。水龍神様にお願いがあり、うかがったのですが…」

「お前の来た理由など、とっくにわかっておる、あの者達の里に行くのか?」

「貴方のお許しがもらえれば、交渉に行きたいと考えております」

「日本政府の意向なら、私が口を挟むことはなかろう…勝手に逝くがよい…」」

「了承してもらえたと、理解してよいのですね?」

「神武、わかっているだろうが…やりすぎるなよ…」

「相手(龍神)しだいです…。」

「さぁ、用が済んだのなら帰れ…」

水龍神の機嫌をそこねてしまったか?ここは素直に帰ることにしよう。

また水中へと潜り、滝壺を越え下界へと戻る。

ピッ!ピーーーー!

「お前!そこで何をしている!ここは遊泳禁止だ!早く上がってきなさい!」

「す、すいません。」

「ここで何をしている!?」

「水質調査です」

「国土交通省 課長補佐

工事外障部門 主任分析官 七海 清 と申します。」

「決して怪しい者ではありません」

ここは立入禁止にしていたはず、水龍神め、また悪戯したか…。

怖い話投稿:ホラーテラー JKさん  

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