中編5
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旅館で・・・

4年程前の話です。

僕は、友人のてっちゃんとりゅうちゃんで広島へ行きました。

僕らは中学から友達で、しょっちゅうでかけて、遊んでいました。

それで今回は広島に遊びに行きました。

結構楽しい思い出が出来ました。

フェリーで宮島に行きました。

鹿とふれ合ったり、牡蠣を食べました。

その日、僕らは満足な気分で広島に戻りました。

しかし、僕らに最初の不幸が降りかかったのでした。

それは、予約していた旅館のフロントでのことでした。

「すみません、予約した者ですが」

フロントの女は丁寧に名前を聞いてきたので答えた。

すると、女の口からショックな言葉が返ってきた。

「ええと、すみませんが、お客様の名前が予約リストに入ってないんですけど。」

僕は困りました。

「とりあえず泊めて下さい。」

女もこまったように、

「すでに満室ですし、予約がないと、泊まれないんです。」

そこで黙っていたりゅうちゃんが口を挟んできました。

「お前ふざけんなよ!俺達はちゃんと予約入れた筈だぞ!」

りゅうちゃんは怒りのあまり、被っていた帽子を投げ捨てました。

気まずい空気が流れました。

そこでてっちゃんがりゅうちゃんを黙らせました。

「まあまあ、りゅうちゃん落ち付けって」

てっちゃんは僕を見た。

「お前、本当に予約入れたんだな?」

え!?

「なあ、てっちゃんが予約入れるって行ったじゃん」

「はあ?」

「三人で決めたじゃねえかよ」

てっちゃんの額から汗が噴き出してきた。

てっちゃんは突飛な速さで土下座しました。

「ごめんなさい!」

僕とりゅうちゃんは逃げるように旅館を飛び出そうとした。

フロントの女が、僕を呼び止めました。

僕は固まった。

「他の旅館を手配してみます。少々お待ち下さい。」

フロントの女は気を利かしてくれた。

僕たちは黙ったまま立ち尽くしていた。

「お客様!」

「はい」

「少し遠いですがある旅館が受けてくれました。」

「ありがとうございます」

そのあと色々ありましたが、なんとか旅館に着くことができました。

しかし、第2の不幸、第3の不幸が訪れました。

見た目ボロイ、入ったら臭い。

しかし贅沢は言ってられませんでした。

「おじゃましまーす」

「誰か居ませんか!」

奥から着物のオールバックの、お婆さんが出てきました。

(あっ、よくあるパターンのやつ!)

「いらっしゃい」

「あ、どーも」

少し恐怖を感じながらお婆さんについていきました。

薄暗い廊下を歩きました。

お婆さんは止まりました。

「ここが、お客さんの部屋です。」

その後、夕食の時間などを聞きました。

「お客さん、部屋の物をあまりいじらないで下さいね。」

「あっ、はい」

「ごゆっくり。」

ふすまが閉まりました。

僕たちは何故か緊張していました。

りゅうちゃんは安心したように会話を始めた。

「最悪な接客だったな。」

「あの人しか居ないのか?」

その後、雑談が続きました。

「そろそろ風呂入るか。」

風呂は以外と広く、誰も居ませんでした。

打たせ湯、ひのき風呂、ジャグジー、露天風呂などがありました。

りゅうちゃんは真っ先に風呂へ飛び込みました。

「あっち!うあああ!」

りゅうちゃんは必要以上にリアクションをとりました。

「こちらは、通常より高めの温度になっております。」

僕の背後にお婆さんが立っていました。

「ごゆっくり。」

お婆さんはその場を立ち去りました。

風呂場は一気に静まりかえりました。

しかし、二人が現場を盛り上げてくれました。

「押すなよ、押すなよ!」

僕は優しくてっちゃんを押してあげました。

「いやああああ!熱いぃ!」

二人は二人で楽しそうなので、僕は露天風呂に入りました。

丁度、月明かりに照らされて見える山々はとても幻想的でした。

しかし、ふと隣を見るとおじさんが浸かっていました。

近寄りがたい雰因気でした。

それと同時に体の心まで冷えるような悪寒がしました。

「あのオッサン・・・・・・・・・・・      !  」

胸から下がありませんでした。

気付いた瞬間、僕は目を反らしました。

顔を動かさずに目線だけ横にやりました。

おじさんは居ませんでした。

パニックになりました。

目線を戻すと微妙な距離をとりながら、近づいていました。考える間もなく逃げ出しました。

「死ねぇ!」

後ろから聞こえました。

しかし、僕は気にせず走りました。

てっちゃんと、りゅうちゃんとは、部屋で合流できました。

僕はさっきのことを二人に話しました。

二人は目を大きく見開きました。

りゅうちゃんが口を開けました。

「実は、俺達も見えたんだよ。」

「!」

「俺らが風呂に浸かってたら、子供が居たんだよ。それで、その子がこっち見てたんだよ。それでその子、風呂を出たんだ。そして、俺ら、ついてったんだよ。そしたら、扉の前に立って扉をすり抜けたんだ。だから、気分悪くなって部屋に戻ってきたんだ。」

「そんなことが・・・・おい、この旅館逃げようぜ。」

一応金を置いて、旅館を逃げる計画を立てました。

お婆さんは居ません。

りゅうちゃんも、てっちゃんも、この時だけは心強く思えました。

一段一段、階段をおりていく。

なぜかこの道のりが異常に長い気がしました。

「なあ、なんか声が聞こえねえか?」

時々てっちゃんが不安な言葉を発する事があり、耳障りでした。

そして、ついに一階に到着しました。

しかし、そこは明らかに来たときとは違う光景が広がりました。

物が散乱し、蜘蛛の巣がそこら中に作られていました。

玄関に出ると扉には南京錠と鎖が巻いてありました。

「そんな・・・」

「お客さん、何処へ行かれるのですか。」

お婆さんが立っていました。

「お客さん、駄目ですよ。絶対に帰しませんよ。」

僕は恐怖で動けませんでした。

「あんた、どういうつもりだよ。」

りゅうちゃんが声をあげました。

お婆さんはゆっくり近づいてきました。

「残念、あんた達はここで死ぬんだよ」

終わった。

何もかも。

「おい!あんたらここで何しとる!」

僕たちは、おじさんに起こされました。

旅館の外にでれていたのです。

ここで、おじさんに詳しく話を聞かせてもらいました。

この旅館は原爆の爆心地からは、離れているものの、多くの死者がでた場所でした。その後に、この旅館が建ったそうです。しかし、旅館は霊が出るらしく評判がよくなかったそうです。

そして、女将さんは謎の死を遂げて、旅館はつぶれているそうです。

こうして、僕とリアクション芸人の冬は終わった。

長文、乱文、失礼しました。

怖い話投稿:ホラーテラー 初コメスナイパーさん  

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