「ガチャ……カチャッ…」 改訂版

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「ガチャ……カチャッ…」 改訂版

母の友人から聞いた話です。

札幌中心部から車で1時間ほどの場所に、登別温泉などと並ぶ知名度を持つ、河童がシンボルの温泉街があります。その中でも一番大きい温泉ホテルの旧館に当たる建物で起きている事だそうです。

旧館といっても立派なもので見かけも綺麗で部屋もオートロック、数百人ほどは軽く泊まれる規模の建物です。

そのホテルでは部屋が満杯でない時は5階の客室にはあまり人を泊めない事にしているそうで、旅行シーズンでもないその日は5階にはだれも泊っている客いなかったそうです。

ホテルの新人従業員のBさんという男の人が、お客がチェックインする前のタオルなどの補充や客室のチェックをしていた時のことです。

4階のチェックを終え6階に行くためにエレベータに乗りこみました。

6階についてみると、そこは他の階よりも何か少し薄暗く感じ、「設定か電球の玉かがおかしいのかな?後でフロントに報告しとかないとなぁ」と思いながらも部屋のチェックに向かいました。

すると、どこか廊下の奥の方で  「…カチャ……ガ…ッャ」  というような小さな金属音が聞こえました。

Bさんは「他にも誰か作業でもしてるのかな?」 と思いながらも自分の仕事をするために客室に向かい、6階用のマスターキーでカギを開けようとしましたがなぜかキーが回りません。

「おかしいなぁ…」 と思い、部屋の号数を確認するとそこには「5××」と5階の客室番号が書かれていました。

「エレベータのボタンを押し間違えたのか」 と内心で自分の失敗に呆れながらエレベータに戻ろうとしましたが、そこで気付きました。

「5階はしばらく使う予定がないし、工事の予定なんかもないはずだから人が居るはずないんだよなぁ……さっきの音は何なんだ?」

Bさんは不審に思い耳を澄ませてみると先ほど聞いた音はまだ聞こえます。

「…ガチャ……カシャ……」

「まさか不審者でもいるんじゃないだろうな……」 

そう思ったBさんは問題の音の聞こえる廊下の奥の方に歩いて行きました。廊下は相変わらず薄暗く、そのせいか空気までなんとなく澱んでいた感じがしたそうです。

そんなことを考えていると問題の音が近くなってきました。

音はどうやら3つ先の客室のノブが動いている音のようだと気づき、中にだれか入り込んでいるのかもしれないと気持ちを引き締めおもむろにその部屋に向かって走り出しました。

しかし、そこでBさんが見たのは自分の想像外の物でした。ノブは部屋の内側からではなく外側から回されていたのです。……しかしドアノブを回していたのは手でした。右手首から肘に向かう5cm位までの手だけがそこにありドアノブを回していたのです。

Bさんはあまりの恐怖に声すら出せずにその場を逃げ出し、階段を走り下り従業員室に駆け込みました。

そこには古株の従業員のAさんとマネージャーが居て、Bさんは自分の体験したことを震える声で話しました。Aさんとマネージャーは特に驚く様子もなく、顔を見あわせ、深いため息を吐きました。

Aさんが、 「確認してきます。」 と一言発し部屋を出ていくと残ったマネージャーがBさんに説明をしてくれました。

「あの部屋は昔、宿泊客に自殺者がでて以来たびたび色々な事が起こるようになったんだ。」

特に感情を出すわけではなく淡々と話すマネージャーは一息いれて更に話し出しました。

「他にも、あの部屋はシャワーが勝手に出たりするトラブルが続いたんで何回も修理を頼んだりしたんだが何も異常はなくてな、それでも勝手に水は出る。5階の給水自体を停めた時にはさすがに水は出なかったが、そんなこんなで普段はできるだけ5階は使わないようにしているんだ。」

どうにかならないものかな……と苦笑しながらマネージャーは話してくれました。

その後さらに話を聞くと  「人に実害が出ることは今のところない」  「部屋に向かい歩く足だけが見られたこともある」  「不思議と泊まり客が幽霊を見たということはない」  「全身を見た従業員はまだいない」  ということを話してくれました。

あまりと言えばあまりの内容にBさんは声も出せませんでしたが、そうこうしているうちにAさんが戻ってきました。

「特に異状ありませんでした、マスターキーや荷物は回収してきました」

別になんということも無いとばかりに淡々と報告しました。

Aさんはすでに何回も体験していて今や特に驚くこともなくなったと話してくれました。

その後、マネージャーが五〇〇〇円を自分の財布から出し、

「今日はもう上がっていいからこれで何か食べて休んでいなさい」 と言いました。

気になったので帰る前にAさんに付き添ってもらい、震えながらも5階の様子を見てみると、先程感じた薄暗い感じなどはなく、ごく普通の明るさの廊下になっていました。

Aさんは、「最初からこんな強烈な体験したのは気の毒だったけど、まぁ、害は無いから安心しなさい」 と言い、こう続けました。

「私がみた一番強烈なのはエレベータから足だけが出てきて、この部屋まで不通に歩いてすっと中に消えていったということだけど、あのときは流石に驚いたよ」

かるく笑いながら話すAさんでしたが、その情景を想像したBさんは顔を引きつらせたそうです。

Bさんは今もこのホテルで働いているようですが、この状況は未だに解決されていないようです。

この話はこの地元に住んでいる人の間ではよく知られている話ということです。

もし、この温泉街に旅行にくることがあれば5階があたった時は部屋を変えてもらう方がよいのかもしれません。

……他に部屋が残っているかどうかは定かではありませんが。

読みにくいとの指摘があり自分も確かにそうだと思ったため改訂しました。同じものを何回も投稿するなよと思う方が居られましたら深くお詫びいたします。

怖い話投稿:ホラーテラー rokiさん  

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