中編6
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イライラする

今朝は寝不足でイライラしていた。

昨夜寝ていたら、胸に重さを感じた。

目を開けると、長い髪の女が俺の上に乗っかって顔を覗き込んでいる。

眠りを邪魔された俺は、女の髪を鷲掴みにすると、そのまま引きずって窓から放り投げてやった。

女はヒーとか言いながら落ちて行った。

いい気味だ。

玉子焼きを作ろうとして、卵を割ったら中から大量の髪の毛が出て来た。

昨晩の女の仕業か?次に来たらきっちりカタにハメてやるからな。

それにしてもセコい仕返しだ、そんなヒマがあったら、もっと人を怖がらせる練習をしろ。

ふとテーブルの下をみると、頭から血を流したハゲオヤジが、体育座りをして俺を見上げている。

咄嗟にオヤジの顔面に蹴りを入れると、ケヒッとか言ってひっくり返った。床が血だらけになったので、オヤジの着ていた背広を脱がせて掃除させた。

オヤジにパンの耳をやったら、嬉しそうに消えて行った。

もう二度と来んなと思った。

出勤のため車に乗って足元を見ると床から左手首が生えていた。思いっきり踏んづけてやると、足の下でジタバタするのが面白くて、つい会社に着くまでずっと踏んづけていた。

足を離したら、紫色に腫れ上がっていた。ちょっと可哀想な気がしたので、会社から湿布を持って来て貼ってやった。

ついでに缶コーヒーも持たせてやったが、口がないから飲めないかな?

後から考えると、少々酷な事をしたかも知れない。

職場に着き仕事を始める。ふと机の下を見ると、朝のハゲオヤジがまた体育座りしている。

しつこい奴だ。

襟首を掴んで、今日休んでいるYの机の下にぶっこむ。明日Yが来るまでそこにいろと脅すと、涙目でうなずく。

昼飯の時に、玉子焼きとおにぎりをやったら、少し笑った。

キモい。

昼休みが終わって、PCの電源を立ち上げたら、貞子が浮かび上がった。ZIPで圧縮してメールに添付、YのPCに転送。YのPCから課長のPCに送信。

暫くして、課長が悲鳴を上げていた。今日は早退するらしい。顔が真っ青だった。

相変わらず胆の小さい野郎だ。

仕事が終わったので、ハゲオヤジに帰ると伝えると、お疲れさまでしたと挨拶してきた。

なかなか礼儀正しい奴だ。

車に乗ると、もう手首はなかった。缶コーヒーも空っぽだった。

飲んだのか?どこから飲んだのだろう?

不思議だ。

家の近くの駐車場に車を止めて、家まで歩いていると、大きなマスクを付けた女が、私綺麗?と聞いて来た。

マスクをしてちゃワカランと答えると、マスクを外した。口が耳まで裂けていた。

少し気の毒になったので、携帯で救急車を呼んでやる。女が慌てて逃げようとするので、

押さえつけて救急隊員に引き渡した。女は迷惑そうな顔をしていた。

人の善意が分からん女だ。

家に入って、ビールを飲もうと冷蔵庫を開けたら、昨夜の女が中に入っていた。

どこから入ったんだ!?

ムカついたけど、あんまり寒そうだったので、風呂に入れてやる事にした。

お前の髪結構臭いからしっかりシャンプーとリンスしろよって言ったら、顔を真っ赤にしてうつ向いた。

女に言うことじゃなかったかなと少々後悔した。

俺のパジャマとバスタオルを置いて、着てた物は洗濯するから、洗濯機に入れておけと言うと、か細い声でスイマセンと言った。

どいでもいいから、肩まで浸かって100数えろ。

ビールを飲む気が失せたから食事の支度をする。

二人分。

出来上がる頃に女が風呂から出てきた。テーブルの上の食事と、俺の顔を交互に見ているので、俺がうなずくと嬉しそうに席についた。

テレビをつけるとお笑いをやっていた。

お笑い見て笑ってんじゃねーよ。

飯食ったら帰れよと言ったら、着る服がないといいやがる。そうだった、洗濯中だった。

仕方ないから今晩だけは泊めてやる事にする。俺は眠くなったから先に寝る事にする。

いいよ、好きなだけテレビ見てろよ。

俺はソファで寝るからお前はベッドで寝ろと言うと、悪いから一緒に寝ようと言う。

幽霊と一緒に寝れるか

断る!

爆睡していると、夜中に携帯に着信。出ると、わたしリカちゃん。今コンビニにいるの。

うるせーよ、切る。

また着信、私リカちゃん今近くの公園。

しつけー、切る。

リカちゃんの話は知ってんぞ、次は電話ボックスだな。

ムカついたから、外に飛び出して電話ボックスまで走る。リカちゃんはまだ来ていないようだ。

待ち伏せしているとリカちゃんがやって来た。電話ボックスに入ろうとしたところを捕まえて、近くの電柱にぶらさげてやった。

ついでに携帯出して、下からスカートの中を撮ろうとしたら、必死でスカートを押さえて泣きわめく。

許してくださいと泣いている。

ぜってー許さねえ。

誰かが俺の肩を叩くので振り返ると冷蔵庫女がいた。

妹を許してやってくださいとかぬかしてやがる。

お前ら姉妹かい!

アホくさくなったのでリカちゃんを下ろしてやって、家に連れて帰る。

二人して泣いて謝るので怒る気も失せた。リカちゃんにも飯を食わせる。

食ったらとっとと寝ろこのバカ姉妹が!

朝起きたら、誰もいなかった。俺のパジャマとバスタオルは、洗濯してきちんとたたんであった。

部屋も綺麗に掃除してあった。洗い物も。

なんか、お礼の一言もないのんかい!

礼儀知らずのバカ姉妹にイライラしながら、車に乗る。

発信させようとしたら、また手首がいる。手にコーヒーを持って俺に差し出す。

この野郎なかなか気がきくじゃねーか。

ちょっと機嫌が治る。

途中コンビニに寄って、ハゲオヤジの朝飯を仕入れる。

会社に着いて、吉田のデスクの下を覗き込むと、いた、オヤジ律義に体育座りしてる。

オヤジに朝飯やって、お前もういいよ、朝飯食って帰れって言ったら、弁当大事そうに抱えて消えて行った。

ふと机の上を見ると、手首が付いて来てた、おれが昨日接着剤で固めたゲンコツを、必死で開こうとしている。

なんだ、お前ら対かよ、仕方ないから給湯室でぬるま湯につけて戻してやった。

お前らも帰れ!

仕事が終わって帰宅。

玄関を開けると、シチューのいい匂いがしてきた。なんでだ?

リカちゃんがお帰りなさいと走って来た。

冷蔵庫女はキッチンで料理している。

お前ら帰ったんじゃねーのかよ、勘弁してくれよ!

何故か顔がニヤついて締まらない。

冷蔵庫女は、お帰りなさい、お風呂にする?それともご飯?などと聞いてくる。

テメエは俺の女房か!?

ウザい、キモい。

でもまあ折角だから風呂に入る。リカちゃんも入れてやる。

この野郎、ジタバタするんじゃねえ、シャンプーが目に入っただと?

辛抱しろ!

こら、泡を流さないで湯船に入るんじゃねえ、タオルを浸けるな、変な歌うたうんじゃねえ。

石鹸箱をタオルでくるんで石鹸をこすり付けて。フーッと息を吹き込むと泡がブクブク。

ほら、これで遊んでろ。

風呂上がったら、飯の支度が出来てた。冷蔵庫女がビールを持って、お疲れさまだと。

だからぁ、お前は俺の女房かっつーの!

こら、リカちゃん、食べる前はいただきますしろ!

三人?で飯食ってたら電話がかかってきた。

出ると病院から、昨日病院に送った女が、所持金もなく、身寄りもないから俺になんとかしてくれだと!?

ふざけるな、そんな事知るかよ!電話を叩き切った。

冷蔵庫女とリカちゃんが心配そうに俺を見てる。

そんな目で俺を見るなコンチクショー。

イライラするからタバコを買いに表に出ることにする。冷蔵庫女、飯もう一人前用意しとけ。

口裂け女を乗せて自宅に戻る。冷蔵庫女とリカちゃん、二人声を揃えて、姉さん!

あなたたちは三姉妹だったのですか!?

もう勝手にしやがれ!

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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傑作ですな( ̄▽ ̄)

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都市伝説『女』達が出てくるのに、
こんなに、人情味あるお話になるなんて!

面白かったです。

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おかしずぎる。すっきりした。こいうのに飢えていました。

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前のアカウント消えたんでまた読みに来ました^^;
何度見ても面白い(。-∀-)

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めっちゃ面白い( ´∀`)傑作でした♪

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