中編6
  • 表示切替
  • 使い方

Unexpected【史】

江戸時代・・・

広大な土地を支配するM家。小作人達を操る事で、私欲を満たす。しかし、人の心は残っていたのであろう・・・

景色を白くする季節・・・小作人達に訪れる年に一度の至福。「シラユキ祭り」。準備〜片付けまで約一ヵ月。この期間だけは、M家も小作人達と親交を深める。この行為が人の心を繋ぎ止める策略かは不明だが・・・

シラユキ祭り前夜祭の夕方・・・

M長男『こ〜ゆ〜き〜♪二人で一緒に何処か行こっ♪』

小雪『あっ!アタイさぁ〜今日は明日の準備で・・・忙しいの。アタイは・・・明日なら大丈夫だよ♪』

M長男『そっかぁ・・・つまんないなぁ・・・じゃあ明日は二人で祭りに・・・いいかな?』

小雪『アタイは大歓迎だよ♪』

仲良く会話をする二人。M家は普段、滅多に小作人と話す事はない。身分の違いからの嫉妬・・・M家の支配を嫌う者達の密かな反抗は、小作人達の暗黙の了解だった。しかし二人はすでに相思相愛・・・

二人の様子を木陰から観察する男・・・

M次男(チッ・・・兄貴め、小雪の様な下民と仲良くしやがって・・・M家の恥曝しめ・・・)

M家では長男を後継者として大切に育て、次男以降は長男の家来として位置付けられる。次男が長男の全てを嫉み、嫌うのは必然だったのかもしれない・・・

シラユキ祭り当日・・・

M家では長男と次男が外出の支度をする。対象的な二人の表情・・・笑みと嫉み。二人にM家当主が声を掛ける

M当主『今日は年に一度の祭り・・・齢20ともなれば、嫁候補ぐらい居るだろ?そろそろ紹介してくれぬか?』

M長男は照れ臭そうに頬を緩ませる。

M当主『家来よ・・・次期当主の護衛、ぬかるなよ。』

M次男は感情を悟られぬ様、下を見つめ頷く。

正午・・・

二人は祭りの中心地、神社へと向かう。途中、M長男が口を開く

M長男『あのさぁ・・・今日は小雪と・・・二人きりで歩きたい。小雪と会ったら・・・俺たちから離れてくれないか?』

M次男(チッ、いちいち面倒な奴だ・・・まぁ、俺も祭りを楽しむか・・・)

M次男『分かりました・・・ですが、この事は当主様にはご内密でお願い致します。』

M長男『もちろん!』

夕方・・・

二人は神社近くに住む、小雪の家へ立ち寄る。長男と小雪は再会し、次男は一人その場から離れる。

次男は大勢の人が賑わう神社に到着する。皆、会釈はするが誰も近寄ろうとしない・・・家来の次男には、媚を売る必要がないから。次男は虚しさに襲われる・・・神社から走って抜け出す。

人から離れ、誰もいない道端で一人錯乱する次男。

次男(ナンナンダあれは・・・俺が何をした?・・・なぜ俺は次男なんだ・・・俺が長男だったら)

チリン・・・・・・

御坊『若者よ、如何なされた・・・』

何処からか突然現れた御坊。なぜか次男は誰にも話せなかった、自分の溜め込んだ不満を御坊に・・・

御坊『そうですか・・・アナタの恨み・・・長男が憎いんでしょ?・・・ハラシマセンカ?』

M次男『ああ・・・でも俺にはそんな力は・・・どうすれば・・・』

御坊『コレを・・・彼らが二人そろった時に・・・アナタが・・・』ニヤリ

次男は御坊から小さな箱を受け取る。お札が貼られ、蓋が閉じられている木箱。次男は御坊に使い方を聞こうと・・・

チリン・・・・・・

目の前には誰もいない。次男は不気味な出来事に、頭がおかしくなったのか?と一瞬自分を疑うが、手には木箱。

M次男(きっと・・・神の遣いがくれた・・・贈り物・・・コレで俺が・・・オレガ・・・)

次男の心中で何かが傾く。その想いは重く、急速に沈む。

シラユキ祭りの夜・・・

子供は家に、大人は宴。年に一度の至福。酒に溺れ、男女は闇へ。皆で朝まで騒ぎ尽くす。

M次男は再び神社へ。彼は人混みを掻き分け探す。兄と小雪を。そして見つける。仲良く手を繋ぐ二人・・・

M次男(チッ・・・幸福自慢か・・・まぁいいだろう・・・俺にはコレガ・・・)

M次男は狂気を悟られぬ様、平静を装い二人に近づき話し掛ける。

M次男『お邪魔してすみません。早急にお話しなければいけない事が・・・一緒に来て頂けませンカ?』

M長男『分かった!手短にたのむぞ!』

次男の誘導で三人は神社を離れる・・・

四半刻後・・・

M長男『何処まで歩けばいいんだ?』

小雪『アタイもそろそろ疲れて来たよ・・・』

M次男『そうだな・・・ここまで離れれば誰も・・・クックックッ・・・』

神社の明かりは遠く小さくなり、月明かりがM次男の狂気に満ちた顔を照らす。ひるむ二人・・・

M長男『どっ、どうしたんだ?!』

M次男『貴様には分かるまい・・・俺の・・・オレノ・・・ハッハッハッハァー!!!』

次男は木箱の封印を・・・蓋を開ける・・・しかし中身は空。

M次男『ア・・・レ?ナニモ・・・チクショー!!アノボウズメェェェ!!!』

怒り嘆く次男に、上空よりアレが降ってくる!

グゥジュル!

ソレはM次男を直撃し、ウゾウゾと体をはい上がり、包み込んでゆく・・・

M次男『ゥウァアー!ッコレカァー!!ゥボウズー!!!!!』

次男の狂気に反応し、ソレは肥大して・・・

あまりの出来事に立ち尽くす長男と小雪。そんな二人にもはやヒトとは呼べない物体は襲いかかる。

M長男『小雪ぃーっ!!逃げろぉー!!』

小雪『ひぃっーっぃぃいやぁぁぁー!!!』

小雪を捕らえ、物体は体内に取り込む・・・徐々に取り込まれる小雪。泣き叫び、長男に助けを求める

小雪『アッ、アダイィマダァシニダクナイヨォ!!!』

唖然とする長男は固まった。あまりの恐怖に自ら思考停止を選択した・・・

ジュリ・・・ギシ・・・ズチャ・・・グチャ・・・

長男も飲み込まれ、半透明の物体の中では、三人の肢体があらぬ方向へ歪み、裂け目から血液、臓器、骨が・・・混じる。

チリン・・・

人を解体する音に混じり聞こえる鐘の音・・・

御坊『お主の望み・・・叶えたぞ・・・満足か・・・私欲に勝てぬM家の者よ・・・・・・』ニヤリ

物体は御坊へ襲いかかる。

チリン・・・

物体の動きが止まる。先程の長男とは違う・・・動かないではなく動けない。

御坊『どうだ、動けまい。どうやら次男の意志が強いようだなぁ。』

御坊はお経を唱える・・・・・・・・・・・・・・・・・・

御坊『次男は永劫にM家の長男を祟り続けるがよい!!長男、小雪は子孫に宿り次男の苦悩を味わい続けるのだ!!!』

そう言い放つと御坊は木箱にソレを封印し、暗闇へ・・・

チリン・・・

とある地方にある豪農の一族M家。M家の長男は二十歳を迎えると必ず死ぬ。未来永劫の呪いなのか・・・

 ――――――――

ドドドドドドド

高級住宅街を抜け鬱蒼とした森の手前、立入禁止のロープの前に二台のバイクが止まる。

PはJの肩を叩き、バイクから降りる。そして、Nにもエンジンを止めるように、とジェスチャーで合図を送る。

J『三度目の正直って奴か。今回で終わらせようぜ!!いくぞ!!!みんなっ!』(決めてやる!!)

Jの鼓舞に続くNとA。

N『ヨシ!やってやる!』(大丈夫かなぁ・・・)

A『アタイもさ!!』(ここまで来たんだ!もうどうにでもなれ!!)

三人はM家へ向かい歩き始める。Pは三人はより少し後を歩く。

P(ピチピチ・・・プリプリ・・・オシリ・・・)

ざわっ!!

通算何度目の違和感だろうか・・・悪寒を与える何者かのメッセージ。妄想中のPにはもはや届かない。

それぞれの思惑がはたして吉と出るのか?

三度、M屋敷へ向かう四人・・・

続く

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

Concrete 59189e6fb4d79119a63e92183ffb92aeb8f46031afd97d5db060811ce15c35e6
閲覧数コメント怖い
16900
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ