中編6
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Unexpected【試】

時刻はすでに三時・・・

四人は再び、M家に近付く。ここでPの『一度止まって下さい』という発言により足を止める一行。M家は目と鼻の先・・・

P『それでは、「ヨウイヅミ」の退治方法を詳しくご説明致します。』

P『実は「ヨウイヅミ」と遭遇する前に出会った御坊・・・奴が悪の元凶であると先程、三大魔女より聞きました。ですので、まずは奴から片付けましょう!』

N『どうやって?』

P『彼は・・・人間。但し、先祖代々M家を呪い続ける御坊・・・呪術に詳しく不思議なお経を唱える。更に手に持つ鐘で「ヨウイヅミ」を操る。』

P『しかし、所詮は人。先程訪れた時のように傍観者を装い、奴から仕掛けて来ることはないでしょう。』

J『って事は四人で御坊に襲いかかる!という事?』

P『はい。多数で挑むのは卑怯ですが・・・私は元から卑怯者ですので、皆さんは賛同してくれますか?』

AとJとN『・・・・・・』

A『アタイ・・・やります!だって卑怯なのは相手も同じ・・・あの時も・・・』

P『ありがとう御座います。では、Aさんは御坊の正面から近付き、話掛けて下さい。』

J『じゃあ、俺とNはAさんの援護する・・・でいいですか?』

P『よろしくお願いします!私は背後より近付き、襲いかかるので、皆さんで鐘を奪って下さい!』

N『了解!』

P『次に「ヨウイヅミ」ですが、M家の都市伝説・・・そして私が三大魔女より聞いたM家の呪い・・・二つには矛盾点が。』

P『都市伝説(現在)では三人のイケニエ・・・本来の話(過去)ではM家の長男が殺される・・・ここからはAさんに説明して貰いましょう。』

A『あの・・・三体の人・・・元は俺の家族なんですよね・・・それで二十歳の時、M家長男の俺が死ぬはずだったのに・・・生け贄にしてしまって。』

P『ここからは推測なんですが、Aさんの家族は恐らくAさんを「ヨウイヅミ」から・・・M家の呪いから守り続ける為、朽ち果てる前に肉体を補充してるのだと・・・』

J『だからAさんは死ななかった・・・との解釈でいいですか?』

P『はい。だからAさんが語り掛けてくれれば、分裂した奴らも融合可能かと・・・一体になった所で鐘を使い、動きを止める。鐘を鳴らせば止まる事は三大魔女から先程確認済み・・・最後に武器を投げ付ければ退治できます。』

N『Aさんの結果次第ですか・・・』

P『はい・・・何もしなくても呪い殺されてしまうなら、生き残る可能性に賭けませんか?』(嘘)

J『そうですね!じゃあ、行きますか!!!』

ようやく四人は一つの目的を果たす為に結束する。そしてM家へ。

チリン・・・

鐘の音が聞こえる。事前の計画通り、Pは一人離れ闇に消える・・・三人はそのまま御坊へ近付く。

御坊と会話する三人。御坊はAを睨むも、手出しする気配はない。

ドンッ!!!

ヂリン・・・

背後から飛び掛かったP。御坊は不意打ちを受け倒れ込む・・・衝撃で鐘を落とす。Nがすかさず鐘を拾う。

突然、Aの顔色が変わり御坊の顔面を蹴る・・・蹴る・・・倒れ込む御坊を押さえ付けるPを突き飛ばし、馬乗りに・・・

ギュチュ!

ガッ!

グチャ!

グヅォ!

Aに顔の頬、鼻、目、額・・・軟らかい所、硬い所全てを殴られた御坊はすでに意識を失っている。JがAを突き飛ばす。そして、Aの頬を張る。

べチッ

正気に戻るA。我にかえる・・・いや、人格が入れ替わる感じ。Aは痛む両拳を見る。赤く染まり、傷だらけ。

御坊の血がAの拳の傷口に染みる。人を殴れば自分も傷つく。Aは痛みと血に怯える。震えるAをNは何も言わず、そっと抱き締めた。

御坊はしばらく起きないだろう・・・Aを励まし、四人は屋敷内へ急ぐ。そしてM家玄関ヘ到着。

ざわっ・・・

〔ハヤク・・・〕

思わず振り返るP。しかし誰もいない。空耳?三人には聞こえていないようだ・・・四人は辺りを見回す。「ヨウイヅミ」の姿はない。

先程約100体がたむろしていた屋敷の庭へ向かう。

-屋敷の庭-

相変わらず群れをなす物体。個々はさほど大きくはない。半透明の物体はそれぞれ過去に解体したであろう人たちの体の一部を核としている。全ての集合体が「ヨウイヅミ」なのだろう・・・

四人の目的は意志を持つ元Aの家族三名。物体の群れを目を凝らし探す。いやでも核が視野に入る。

胃、

目、

骨、

脳、

人体の一部が核として機能しているが全て解体時の傷跡を受け、完全な物は一つとしてない。気付かれぬ様、息を潜め吐き気と異臭に耐える四人。

十分後・・・

ようやくAが群れの中から人型の物体を見つける。Aは思い返していた・・・今は物体として生きる元家族が、自分を守っていてくれた事を・・・

Aの中に沸き上がる感謝の心は、非情にも冷静さを奪う。家族の元へ駆け寄るA。

ガキッ!

Aは庭に散乱する何かの破片を踏んでしまう。人の骨くず。そして、音に反応した物体が一斉にAへ襲い掛かる!!

PとJはしまった!と思い、条件反射から目を閉じてしまう・・・

チリン・・・

ボタッ、ボタッ、ボタボタボタボタボタボタ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ボタッ!

Nの鳴らした鐘の音が響くと物体は勢いを失い地面へ落ちる。Nの冷静な判断がAの命を救う・・・

四人は物体の群れが静止している事を確認しつつ、人型の・・・Aの家族の元へ辿り着く。そして、

A『今までずっと・・・ずっと助けてくれていたんだね・・・・・オデェ・・・オデバ・・・死ヌコドガ怖グデ・・・裏切ッデ・・・ゴベェンナザァァァィイイ!!!』

涙と鼻水まみれのAの言葉は聞き取りづらく・・・ただ三人と三名には、Aの叫びが心に響いた。

ブルッ、

『・・ニエェ・・・』

『・・ニヴェ・・・』

『・・ニゲェ・・・』

『モウニゲェナイデ』

そう語る一名はAの次男。顔は潰れて表情など判らないが、淋しそうで優しくて・・・

ブルブルッ!

ブニュブニュ!

鐘の音の効果が解けた物体の群れが四人へ迫る。鐘を持つNは、感情移入していた為、判断が鈍っていた。

ベヂョグデェ、ベヂョベヂョ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ベド!

一斉に飛び掛かった物体は集まる。

Aを除くM家の元へ。そして、大きな「ヨウイヅミ」へと型を成す。集合体となった「ヨウイヅミ」の中に埋もれたM家三名。無心となった「ヨウイヅミ」はAに襲い掛かる・・・

チリン・・・

再びNの機転で鐘が鳴る

P『そろそろ・・・』

A『ズイマゼン・・・モウニゲナイ・・・』

J『それじゃあ、私の合図で一斉に!!!』

N『ハイッ!』

着火準備・・・両手に武器を握り締め四人は「ヨウイヅミ」を囲む。

J『いっ!せぇぇ!!のっ!!!せっ!!!!』

ドォォオオオン!!!

鳴り響く爆発音・・・大量の火薬と塩が混ぜ合わされた武器の破壊力は凄まじく、「ヨウイヅミ」の液体が四人の服に飛び散った。そして煙が消える。

数多の人影・・・Aの家族三名、過去の生け贄、家来次男。皆この時を待っていたかの如く・・・疲れ果て、微笑し空へ昇る。

遅れて、Aの中から抜け出した二名の人影が後を追う・・・仲良く手を繋ぐ・・・長男と小雪・・・

不思議な光景を目にする四人。Nは泣き崩れ、Jは瞳を潤ませ、Pは口を弛ませ、Aは涙を流し、頬は上がり・・・悲しくも嬉しく、スッキリした表情だ。

それぞれが感傷に浸る。

ざわっ・・・

〔ハヤク・・・〕

Pは何者かの声を聞き、不思議な光景への思考から現実へ引き戻される。しかし、三人は未だ思考の中。どうしたらいいか分からないPは口を開く・・・

P『そっ、それでは皆さんかえりましょうか?』

AとJ、N『・・・ハイッ!』

四人はバイクを止めた場所へ引き返す。途中に倒れる御坊を見て、Aが携帯を出し連絡する。四人がバイクに近付く頃、遠くから音が聞こえる。

ピーポーピーポー

J『なんとか終わりましたね!!皆さん、お疲れ様です!』

N『ですね!』

A『俺・・・だましたのに・・・みんな本当にありがとう』

P『私は・・・Nさんの・・・』

J『じゃあ皆さん、街へ帰りましょう!Pさん、後ろにどうぞ!』

ドドドドドドド

二台のバイクは市街地へ向かう

続く

※前作でコメントをくれた方へ。次回で終わりですm(__)m※

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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