短編2
  • 表示切替
  • 使い方

付いてきた犬

私が小学生の頃、母とお墓参りに行きました。

そのお墓は動物霊園も一緒にあるところで、動物好きの私はお堂を覗いて見ました。

そこには生前大切にされていたであろう動物達の写真が所狭しとこちらを向いて並んでいました。

中には目の光っているものもあり、少し怖くなって、一応手を合わせて帰りました。

その夜、いつものように父と母の間で寝ていると、ふと、目が覚めてしまいました。2時だったと思います。今まで起きていたように意識がはっきりしています。

と同時に枕元に何か居る気配が。それは

『チャッチャッチャッ…』

といっています

私『??何かいる…?』

枕元にも、部屋中を見回しても何もいません。でも音だけはすぐそばに居るようにハッキリと聞こえます。

そのうち

『ハッハッハッハッ…』

息を吐くような音。聞き覚えのある息遣い。

私『…犬…?何で家の中に?でも姿が無い…』

そこで『チャッチャッチャッ』という音は、犬がアスファルトとか固い地面を走る際に出る音だと気付きました。

ここ畳の部屋なのに。

あっ!と、昼間の写真達を思い出し急に怖くなりました。

横に寝ている母にしがみつきますが、夏なので「暑い!」と離されてしまいました。両親には聞こえていないようです。

父も同様ですが無理矢理同じ布団に潜り込みガクブルしてたら、いつの間にか眠ってしまいました。

朝が来て、両親に話しましたが、本気では信じてもらえずなだめられて、また夜が来ました。

『昨日のは何だったんだろう…夢かなぁ?夢であってほしいなぁ…今夜は来ませんように…』

と思ったけど、祈り虚しく昨夜と同じです(泣)

2日連続で現れたらきっと今日も現れる…いつまで続くのかどうしたら良いのか全く分からず、半泣きになりながら取り敢えず

『戻ってください!あのお墓のお堂に。ここはあなたのお家じゃありません!どうか戻ってください…』

延々と、必死にお堂のイメージをしながら祈りました。

それが功を奏したのかどうかは分かりませんが、その夜からは音と息遣いは聞こえなくなりました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名のビビりさん  

Concrete
コメント怖い
00
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ