続いて、踏切の話。
場所によっては存在すると思うが、田舎の赤字私鉄の踏切で、信号機がある踏切がある。
別に、複雑な道でもない。
県道と私鉄の線路が交差しているだけ。
なら何故、警報機も遮断機もある踏切に信号機があるのか?
もともと、普通の踏切と同じように警報機と遮断機しかなかった。
しかし、何故か自転車に乗った高校生が遮断機の下りた踏切に突っ込み、電車に轢かれて死亡。
赤字の私鉄だから、1時間に上り下りで2回しか下りない遮断機。
なのに毎年、数人の高校生が踏切に侵入して死亡。
それ故、誰からともなく「あの踏切には何かある」と言われたのも、当然だった。
市は多発する事故防止の為の、苦肉の策として信号機を設置した。
その後、確かに事故は減ったが、それでも年に数件は事故が起きている。
そして、俺はある夜、見てしまった。
やはり深夜。
俺はその踏切を通り過ぎようとしていた。
街灯?に照らし出される踏切にうごめく、赤茶色の塊。
手足が目茶苦茶に付いていて、無数の目が中心あたりでギョロギョロ動いていた。
察しの良い方は解ったと思うが、多分それは轢死した学生達の肉塊が霊になった物だと思う。
俺は、かなり動揺しながらも無事に通過した。
その県道は、高校生を始めとする若い人の事故死が多い。
実際、俺の同級生が高校を卒業した初夏に、新しく出来た道を車で走っていて、速度超過でカーブを曲がりきれずガードレールに衝突。
助手席に乗っていた友人と共に即死。
助手席の友人の死体には首から上が無く、警察が捜索した結果、近くの側溝に転がっている生首が発見された。
思い出すのも辛いが、俺は高校を卒業して県外に出る前に死んだ同級生に会っている。
高校こそ別々だったが、幼稚園から中学まで同じ学校に通った、ヤンチャだけど気のいいヤツだった。
地元で就職する彼に、県外に行くと言うと、
「でも夏には帰って来るんだろ?また会おうぜ!」
と笑顔で言ってきたのが、今でも忘れられない。
再会は、二度と果たせなくなった…。
怖い話投稿:ホラーテラー こうさん
作者怖話