中編3
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もんぺの女

流れを読まず投下。

去年の話。

俺の住んでるアパートは県道に面した所に建っていて、部屋(二階)の窓からその県道が直下に見える。

夜中はほとんど人通りもないその道には小さな街灯付きの古い電柱が窓の真ん前に立っている。

夜はその街灯の周り以外は真っ暗になる。

ある平日の小雨パラつく夜中3時頃、俺(一人暮らし)はその窓のある部屋でその時間までテレビをボーッと見ていた。

俺は煙草をかなり吸うのでその窓を開けっ放しにしていた。だから外からの音などいつもよく聞こえるのだが、さすがに夜中三時にもなれば何の物音もしない。

しばらくテレビを見ていると、何か外から「ギシ、ギシ」という音が聞こえてきた。俺はたいして気にもせずにそのままテレビを見ていた。

だがしばらくするとまたあの音が聞こえてきた。何だろうと思い、窓の外を座っていた位置から膝立ての姿勢で覗いてみた。

すると、何か大きい者が電柱の所で動いているようだった。

よく見えなかったので窓際まで行って眺めてみた。

そしてよく見ると、何と誰かが電柱によじ登っているではないか。俺は「こんな真夜中に何やってるんだ!?」と思い、何か怖くなったので別の部屋に行ってその部屋の電気を消してこっそり様子を眺めた。

それはよく見ると頭巾のようなものをかぶっており、下はもんぺをはいた女のように見えた。

だが顔はよく見えない。まるで戦時中のような格好をしたその女がゆっくりと電柱を登っていた。

俺はその光景に恐怖を感じたが、そのままの姿勢で見続けた。

やがてその「女」は電柱のてっぺん近くまで登ると、しばらく動かなくなった。

二、三分間ぐらいだったかそのままの姿勢でいたその「女」は、よく見ると俺がさっきまでいた部屋の窓の高さ位の位置におり、部屋のほうをじっと凝視しているように見えた。

俺は直感的に「やばい!窓開けっ放しだった!」と思ったがその部屋に戻る勇気がなかった。

再び「女」の方に目をやると、いつのまにか姿が消えていた。

俺は訳がわからなくなり何か恐ろしくなって、元いた部屋には戻れず、別の部屋で布団にくるまって朝を待つ事にした。

一時間くらい経ったか。俺は怖くてなかなか寝つけずにいると部屋のドアのノブがかすかにカチャカチャ音がしてるのに気付いた。

「もう、何なんだよ!?」と震えているとドアのノブがゆっくりと回り、扉が少しずつ開き始めるではないか!

俺は情けない事に悲鳴を上げ、布団を被って震えていた。

すると誰かが部屋に入ってくる気配がした。

布団の僅かな隙間から足が見えた。もんぺ地のズボンだった。

「さっきの女だ!」

正直、失禁しそうだった。

目を閉じてしばらく震えていた俺はふと目をあけると布団の隙間からその「女」がのぞいていた!

俺はここで完全に気を失い、気がつくと朝になっていた。

その時見た「女」の顔は何故か2~3歳くらいの子供の顔だったように見えた。

今はもうそのアパートには住んでないが、夜寝るときは未だに怖くて毎日電気つけっぱなしで寝ている。

夜にトイレ行くのも怖い。

あの顔、姿が頭に焼き付いてしまっていて怖い。

怖い話投稿:ホラーテラー レノさん  

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