Nm-k
とある国の密林地帯に2人はいた。
彼らは国家の調査員だ。
調査対象はこの密林に生息する動植物だったのだが…
マイクは蛭に吸われた足をかばうようにゆっくりと歩を進めている。
「おい、ニック。これからどうする?」
「どうするも何も、先ずは隊長達と合流するのが先だろう。」
「この状況で冷静なこって…羨ましいな、お前。」
「おい、俺はそっちの気は無いからな。」
「何言ってんだ!?アホが、こっちだってそんな気ねぇよ!」
「…それはそうと、ニック、俺達が探してる何とかジャッカルってのはどんな生き物なんだ?」
「マイク、お前またブリーフィング中に居眠りしてたろ?」
「だって暇だろ、あれ。」
「ふぅ、いいか、俺達が探してるのはベルモット・ジャッカルって言う大型の肉食獣だ。だから、こんなに重い荷物や銃器を持って…
って、マイク荷物はどうした!?」
「ああ、入り口のとこでトラックに置いてきた。」
ニックは今自分がマイクと2人きりな事に物凄く不安を感じていた。
「なあ、ニック。そのベルモット・ジャッカルってな危険なのか?」
「この数ヶ月の間にこの密林に住んでいる部族の村や集落が正体不明の何者かに襲われて、立て続けに壊滅してるらしい。」
「それがベルモット・ジャッカルの仕業なのか?」
「ああ、かもしれない。
政府は生き残った部族の男を保護して、彼から直接事情を聞いた。
彼の話では、相手は象位の大きさの全身白い毛に覆われた生き物だと言うことだ。」
「俺、やっぱり銃器を取りに行ってくる…」
「バカ、もう遅い。
それに引き返そうにも、正確な現在位置が掴めてないこの状況で下手に動くなど自殺するような行為だぞ。」
「だけど、もし、んな化け物が出てきたらどーするんだよ?」
「きっとそんな生き物は存在しない。」
「は?何で!?今お前が俺に説明したばっかりだろ!?」
「第一に、そんな生き物が本当にいたのなら、何故最近になって人間ばかりが襲われ出した?
それに、先発の調査員の報告では、この密林の野生動植物の数も至って正常だと言うことだ。」
「どういうことだ?」
「つまり、この密林の中で部族同士の争いが起きているってことだよ。」
「それなら、その保護されてる男はそう言うんじゃないのか?」
「さぁな、彼等は誇り高い。きっと言いたくない理由でもあるんだろ…」
「だとしたら、迷惑な作り話してくれたな、その男は。そいつのお陰で俺達は今この蚊と蛭の楽園に居るんだから…」
「だな。さあ、さっさと隊長達と合流して調査を終わらせよう。」
「…隊長達の場所、分かるのか?」
「一応、簡易的なGPSがあるからな。まあ、これがどこまで当てになるかは知らんが…
こいつが正しければ、もう後2、3キロで隊長達と合流出来るはずだが。」
「隊長達はどっちに向かってんだ?」
「どうやら、小休止してるみたいだな。さっきから動きがない。…やっぱり壊れてんのか?これ?」
2人はやがてGPSが指し示していた場所へ到着した。
「な、何だよ…これ。」
驚くマイク。
2人の目の前に現れたのは、明らかに現代文明の建築物からなる小規模な町の入り口だった。
見たところ、人が生活している痕跡は無いが、こんな密林の中にいきなり現れたこの町に2人は嫌な物を感じていた。
「隊長達…ここへ入ったのか?」
「分からない。だが、信号はこの辺りから発信されてる。」
「行くのか?」
「行くしかない。」
「くそ、やっぱり銃器をトラックに置いてきたのは失敗だった!ニック、俺に何かあったら護ってくれよな。」
「だから、俺にその気はない…………」
「いや、そういう問題じゃなくて…」
2人は町の中へ足を踏み入れた。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話