Alive
2人は、開け放たれたドアを通り建物へと入っていく。建物は、どうやら民家の様だった。玄関とおもしきその場所は、埃が溜まって独特の臭いを放っていた…
「おいおいニック。まさかこの家の中探索しようってんじゃないだろうな?」
「そのつもりだが?」
「冗談だろ!?ヤバイって、絶対。お前、ホラー映画とか見たことないの?
だいたい流れ的に、この辺でとんでもない化け物とかが出てくんだよ…」
「出てきたのがもし、奴なら逃げるしかないがな。」
「な、何か知ってるのか?」
「昔、これと同じような経験をしたことがある。」
「マジかよ!?…で、お前、当たり前だけど生き残ったんだよな。」
「…ああ。だが5人いた内の3人が犠牲になった。」
「敵は?何だったんだ?
やっぱり何処かの部族とかか?」
「分からない。」
「はぁ?分からないって…お前は戦ってその時生き残った。つまり、相手を倒したんだろ?」
「倒す?それは不可能だ。今ここに居るのがその時の奴かは分からんが、あの時は逃げるだけで精一杯だった。」
「そんなに強い奴なのか?」
「…名はナイトメア(悪夢)。
奴に銃器は効かない…」
「!?まずいだろ!そんな奴を相手にするのは…!」
「だから…もし奴に出くわしたら、すぐに逃げるぞ。奴とまともに戦りあったところで、敗けるのは火を見るより明らかだからな…」
「そいつ見た目はどんなだ…?」
「実体は知らんが、俺が過去に遭遇した時には中世の鎧武者みたいな姿だった。最初は、敵の挑発かと思ってたんだ…
今時、そんな鎧で戦うバカはいないからな。」
「……で?」
「奴の攻撃力は計り知れない…腕から先の形状や質感を自在に変えられるんだ。そして相手の武器をコピーしてそれを自分の腕先に造り出す…」
「嘘だろ…んなターミネーターみたいな化け物が実在するのかよ!?」
ニックは深く、静かに頷いた。2人の間に暫し沈黙が漂う…
「行くぞ、ニック。」
マイクはそう言うと、さらに民家の奥へと進みだした。ニックには、そんなマイクがさっきまでよりも、逞しく、落ち着き払っているように思えた…
………ゴトンッ!!
「うぉわぁぁぁーー!!」
そう、思えた…だけ。
「マイク、ただ俺の銃が家の壁に当たっただけの音だ。落ち着け、頼むから…」
「な、な、な、何やってんだよ!?そっちが気を付けろ!」
「……俺は2階を見てくる。お前はここで待ってろ。」
「…シカトかよ。」
マイクを下の階に残し、2階に上がったニックは、部屋を1つずつ見て回った。
そして、一番奥の突き当たりにある部屋の中で調査隊メンバーの1人、ダニエルを見つけた。彼は、まだ生きていた。
「だ、誰だ!?よせ、く、来るな!」
「落ち着け、ダニエル。俺だニックだよ。」
「…ど、どうしてここが?」
ダニエルの身体は小刻みに震え、顔は血の気が引いていた。
「簡易GPSだ。以外と当てになるもんだな…これは。」
「そ、そうか。良かった、良かった。ニック…早く、早くここから逃げよう!また、またあいつが来る!!」
どうやらダニエルは奴を見たらしい。
ニックはダニエルから話を聞くために、一度、彼を残して下にいるマイクを呼びに行った。
3人は、ダニエルが隠れていた部屋の中でダニエルが見た奴について話始めた…
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話