中編4
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創作2(S7)

The Hell

ニックがナイトメアの大槍に弾かれ、踊り場の階段に叩きつけらた。

ニックの身体はその衝撃で自由が利かない。

ナイトメアの左腕に鈍く光る銃口が、ニックを狙っている。

弾が発射される寸前、ニーナがナイトメアの右側から空中回し蹴り、ナイトメアは体勢を崩し、その隙にニックは痛む身体を引きずりながら物陰に身を隠した。

援護到着まで後2分…

既に2人のMP-5の弾は底を尽いていた。

残された武器は、通常弾頭45APCが装填されたH&K USPのみ。

「…くそ、後たった2分足らずなのに…」

様子を見る限りでは、ニーナの限界も、もう近いようだ…

ニックは無念の表情を浮かべていた。

ブラックホークの編隊の視界にニックとニーナがナイトメアと戦っている古城が見える。

「ナイトアロー1から指令部。

目標地点135視認、敵の攻撃に警戒しながら高度500フィート、方位066から侵入する。」

「指令部了解。

隊員降下完了時のコールは『バイパーオン』。降下完了後は通信周波数を1085に合わせてそのまま上空で待機せよ。」

「ナイトアロー隊了解。

間も無く隊員降下地点に到達。」

ニックとニーナの2人は、共に体力の限界を迎えていた。

今までのどれよりも強い異質なナイトメア…

今、2人が考えることは、援軍到着までのあと50秒を生き抜くこと…

ナイトメアが2人に対して咆哮を上げる。

まるで、これがお前達の最期だと言っているかのように…

古城の中央テラス。

風音と舞い上がるテラスに積もった砂漠の砂…

「こちらナイトアロー5、最後の隊員が降下完了。ナイトアロー1へ、全隊員の降下が無事に終了。ナイトアロー5『バイパーオン』!」

「ナイトアロー1、了解した。

ナイトアロー1から指令部へ、

『バイパーオン』、全ての隊員の降下が終了!

これより、ナイトアロー隊は通信周波数1085にセット、上空で待機する。」

「指令部了解。

ナイトアロー隊へ、戦況がこちらに有利になるよう彼等を出来る限りの範囲で援護してやってくれ。」

「ナイトアロー隊、了解。」

ニックの右足をナイトメアの大槍がかすめる。

傷口をかばいながら、ニックはニーナに指示を出す。

「ニーナ!外へ向かって全力で走れ!!もう援軍が来ている筈だ!!」

「了解…、

全力で、ったってもうグタグタなんですけど?」

「何をぶつくさ言ってる!?急げ、早く!!」

城内から古城の中央テラスへ2人は飛び出す。

ナイトメアはすぐ後ろに迫っていた…

「今だ!全員、一斉射撃!!」

中央テラスに2人を追って飛び出したナイトメアに硫酸弾の雨が降り注ぐ。

『グオオォォォ…!!!』

「よし、効いてるぞ!

アルファ3、マディソン少佐とヘイル少佐の救助に迎え!」

「了解、行くぞ、続け!」

中央テラスから出来る限り離れようとするニックとニーナの元に援軍の1チームが駆け寄り、2人を支える。

「すまない…」

「気にするな。しかし、あんな化け物と戦ってよく今まで生きていたな…」

「相棒が使える奴だった。それと、運がよかっただけだ。」

「………ふっ、後は俺達に任せな。」

「油断はするなよ。

奴は今までのナイトメアより遥かに強い…」

ニックがそう言った時、ニック達の後方から物凄い音が聞こえた。

「危ない!!」

ニーナが叫んだ。

「くそ、何て事だ…」

「や、ヤバイぜ。何なんだあいつは…」

身体中に硫酸を浴び続けていたナイトメアが、ついに本気になった。

身体中が激しく蠢き、次々に新しい身体のパーツが構成されていく…

そこに、先程までのケンタウロウスの面影は無く、背丈は倍ほどになり、身体に蜘蛛の巣のような銀の幕が張られ、手足はより強靭な造りに…まるで、ドラゴンの様な体つきになっていた。

「まずい!アルファ2、RPGで攻撃しろ!!」

「り、了解!RPG、ファイア!!」

ロケット弾がナイトメア目掛けて飛び、炸裂した。

「…どうだ?」

隊員がナイトメアのダメージを調べようと気を緩めた瞬間…

大気を切り裂くような突風がその場に居た全員を包み込んだ。

ナイトメアの羽から繰り出されたその強力な攻撃は、あっという間にナイトメアの近くに居た隊員達を消し去った…

ナイトメアが空中に飛び上がり、攻撃体勢に入った。

その両腕にはRPGが構築されている。

しかも、多弾頭タイプの様だった。

思わぬ誤算…

援軍はこのナイトメアを少し甘く見ていた。

戦慄の光景がそこには在り、本当の地獄が始まりを告げる………

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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