中編6
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狗留孫峡

それは、高校生の時の話。

と、その前に…

狗留孫峡には小さな頃から

よく行っていた。

狗留孫峡とは鹿児島の一級河川の川内川[センダイガワ]上流にある川で

狗留孫峡(クルソンキョウ)という川である。

ここは夏場になると、キャンプ場に県外から色々な人が来るが知る人ぞ知る的な秘境のような場所である。

山奥にある、その場所は途中までは道路が舗装されているが ほぼ舗装されていない道だ。

その道の左側に川は流れていた。

僕らは

夏になると、ヤマメを捕ったり涼みに来たり、泳ぎにきたりと地元では唯一の遊び場所になっていた。

しかし、夜になると夏でも毛布がないと寒いくらい冷え込むこともあり

何も知らない県外の人は夏に毛布を買いにスーパーや、ホームセンターまで行くことも、少なからずそうゆいことはありました。

そんな、のどかな風景が広がる狗留孫峡で実際に起こった出来事を

お話いたします。

あれは高校2年生の夏。

夏休みに入った僕と友人Kは、いつも一緒にいた。

幼なじみのKとは、ホモか!と言われるくらい仲が良く

親同士も仲が良かったので兄弟のように育った。

高校も同じで、行きも帰りも一緒だった。

そんな僕達が体験したのは、人に話して信じてもらえるような内容ではない。

K『クルソン行こうぜ』

と、まあ 夏になれば口癖のように毎週通った。

多少、天気が悪くても行くことはあったが

その日は、午後から雨の予報だった。

しかも前日は雨が降った。

僕『はあ?今日は雨が降るらしいよ。』

雨が降れば、昨日よりも水嵩が増すし帰りは濡れるし、寒いし、いいことない。

僕『いやいや、ゲームしようよ(PS2)』

なんか面倒くさかった。

でもKは、

ゲームとか、あんまり好きじゃないアウトドアな奴だったから…

結局、11時には狗留孫峡に着いた。

バイクで舗装されてない、道を走るとタイヤのでかい僕のバイクは横滑りをする。

昨日の雨のせいもある。

パンクしないか、いつも心配しながら乗っていた。

K『暑いなー早く川に入ろうぜ』

と、すでに入っているKを横目に チンタラ服を脱ぐ僕に水をかける。

上流なので浅瀬の多い、狗留孫峡の川は深いとこに他の人がいる場合が多いのだが

その日は、午後から雨が降る予報だったせいか

昨日雨が降ったせいで川は濁って水嵩は増えて流れは速かったし、少し曇りだったせいか、人は誰もいなかった。

1時間ほど、遊んでいると3家族ほどの集団がやってきた。

30代くらいの親と5歳くらいの子供達だ。

僕たち地元の人間は、基本譲る。

揉めたくないし、仲良くもなりたくないし…

まだ高校生だったから、大人との付き合いなんて知らなかったから。

でも、譲ろうと 川からあがろうとしていたら

『クソガキどけろや!』

と、いきなりの罵声。

マナーの悪い人は、たくさん今まで見てきたが

『いきなりかよ…』

僕たちは、道路と反対側の浅瀬に行き

その家族らに場所を譲った。

K『帰ろっか』

そうKが、言うので

その家族らを避けるように遠回りして

道路側に行こうとした。

すると、雨が降ってきた。結構、大粒の雨だった。僕たちは、道路川まで戻り着替えて帰ろうと思ったが

さっきの家族らの荷物が雨で濡れてる。

無視すれば、いいんだろうけど

僕『あ、あの!荷物が濡れてますよ!』

と、言うと

父親3人がタバコを吸いながら道路側に向かって歩いてきた。

『なんか、嫌な感じ…』

父親達が道路までたどり着いた時、

『キャーーーーッ!!』

『うわぁーー!』

という悲鳴が聞こえた。

声は、川に残された母親達と子供たちのところから聞こえた。

なんだろ…

と、川の方を見ると4歳くらいの赤い服を着た女の子が川に流されていて、

すでに20Mくらい下流にいた。

何を思ったか

服を着終わっていた僕は、バイクにまたがり下流にむかって走り出していた。

『ママーーー助けて!!』という叫び声が山間に響く。

川の上流ということもあり、昨日の雨もあり流れがかなり速い。

しかも雨が降っているせいで水の量も、さっきより少し多い。

雨で舗装されていない道路は、滑り

なかなか前に進まなかったが

ストレートで一気に女の子を追い越した。

あそこだ!!

川の流れが一旦緩やかになる箇所がある。

そこで、助けるしかない!

多分、失敗したら

流されていってしまう。

バイクを、乗り捨て

バイクは、土砂に乗り上げ横転。

そのまま道路から川まで15Mくらいの坂を下り川へ飛び下りた。

しかし、女の子が流れてこない。

バイクを土砂に乗り上げるまでは見えていたのに…

すると、赤い服を着た女の子が流れてきた。

まだ、バタバタしているので意識はしっかりしているようだった。

K『反対側に流されるぞ!』

Kが、いつの間にか道路にいる。

Kもバイクで追い掛けてきたようだ。

僕『わかった!!』

道路側にいた僕は泳ぎながら、岩を乗り越えながら反対側へ向かった。

それを見ていたKも川に飛びこんだ。

決して浅くはない流れが緩やかな箇所で

流れてくる女の子が10M手前まで来た。

女の子『はぁ、はぁ、はぁ…あ、あ』

水を吐き出しながらも、手を広げる僕にむかってこようと必死のようだった。

そして目の前まで来た

女の子の腹を抱えた瞬間

『よっしゃ…掴んだ…あ、あれ。なんだこれ。』

女の子の全身にヌルヌルしたものが纏わり付いていた。

そんなことは、どうでもいい。

流れが緩やかだと言っても、このヌルヌルするもののせいで

しっかり掴めない。

『く、くそー!』

そこに、Kが後ろから現れ女の子の足を握った。

そして、女の子は顔以外が水中にあったが

顔には怪我一つもない。

そして、ヌルヌルするものを取ろうとKと剥がそうとすると

ヌルヌルするものは、水中から出てきた。

勝手に…

それは白かった。

蛇のようだ。

でも、蛇の額には角が生えてる。

小さな突起物のようなものだ。

一瞬でKと僕は固まった。蛇に睨まれた蛙とは、このことだろう。

大きさは人と同じくらいの大きさだった。

長さは水に浸かっていたので、よくわからなかったが

かなりの長さだ。

その蛇は水の中から徐々に上へ向かい出てきた。

周りの全ての音が 無 になり、全てがスローモーションになっていた。

『死んだ』

そう直感した。

そして

気付いたのは、白い蛇が1Mくらい水から出たところだった。

背中に羽が生えてる。

羽というより、いくつも枝分かれした枝のような形をしたものだった。

『ギギギ…』

その角の生えた白い蛇は、舌を出しながら音を出し始めた。

そして意識がなくなった。

『…い!…しろ…おい!』

その声で気がついた。

背中がゴツゴツ痛い。

はっとして周りを見ると、横転して止めたバイクから更に下流に50M下った道路の脇にKと、女の子3人で寝そべっていたようだ。

『大丈夫か?』

そこには、さっきの家族らがいた。

どうも車で下流まで来たようだ。

そのあと、女の子もKも目を覚ました。

女の子は、軽い打撲くらいで

他には怪我はなかった。

通常、下流にあれだけ流されていけば

岩がゴツゴツ出ている狗留孫峡では 怪我どころじゃすまない。

それなのに…

やっぱり、あの白い蛇が助けてくれたのか…

Kとは、そういう話になった。

ま、周りの友人に言っても信じないから

黙っていました。

それから10年がたち、この投稿をしています。

投稿するときに、クルソンキョウの漢字がイマイチ思い出せなくて

携帯のYahoo!で

『クルソン峡』と調べるとWikipediaが出てきた。

そこに記載されていた

狗留孫峡の詳細で、10年前の出来事が少し理解できました。

Wikipediaで

調べてください。

『クルソン峡』

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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