中編5
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地下の井戸 Pt.1

※コピペです。

今から数年前の話。

俺は東京にある、某組織の若手幹部に使われてた。

Nさんって人。

今やそういう組織も、日々の微妙にヤバい仕事は、アウトソーシングですよ。

それも組織じゃなく、個人が雇うの。

警察が介入してきたら、トカゲの尻尾切りってやつね。

その代わり金まわりは、かなり良かったよ。

俺は都内の、比較的金持ちの日本人、外国人が遊ぶ街で働いてた。

日々のヤバい仕事っていうと、すごそうだけど、実際に俺がやってたのは、ワンボックスで花屋に花取りに行って、代金を払う。

その花を俺がキャバクラから、高級クラブまで配達する。

キャバクラ行くと、必ず花置いてあんだろ?あれだよ。

で、花配りながら、集金して回る。

もちろん花屋に渡した代金の、3~5倍はもらうんだけどね。3万が10万、5万が25万になったりするわけよ。

月に3千万くらいにはなったね。

俺がやるヤバい仕事ってのは、最初はその程度だった。それでも結構真面目にやってた。

相手も海千山千のが多いからさ。

相手が若僧だと思うと、なめてかかって、値切ろうとするバカもいるんだよね。

その度に暴力沙汰起こしてたんじゃ、仕事になんないわけだ。起こす奴もいるけど。でも警察呼ばれたら負けだからね。次から金取れなくなるから、組から睨まれる。

タダじゃすまんよ。

そういう時、俺は粘り強く話す。

話すけど、肝心なトコは絶対譲らない。一円も値切らせないし、ひとつの条件もつけさせない。

前置き長くなったけど、まあうまくやってるってんで、Nさんの舎弟のSさん、Kさんなんかに、結構信頼されるようになった。

それで時々花の配達に使ってるワンボックスで、夜中に呼び出されるようになった。

積んでるのは、多分ドラム缶とか段ボール。

荷物積む時は、俺は運転席から出ない事になってたし、後ろは目張りされてて、見えないから。

それでベンツの後ろついてくだけ。

荷物を下ろしたら、少し離れたところで待たされて、またベンツについて帰って、金もらって終了。

何を運んでたなんて知らない。

その代わり、1回の仕事で、花の配達の1ヶ月分のバイト代をもらえた。

ある夜、また呼び出された。

行ってみると、いつもとメンツが違う。

いつもはSさんかKさんと、部下の若い人だった。

ところがその日は、幹部のNさんがいて、他にはSさん、Kさんの3人だけ。

3人とも異様に緊張してイラついてて、明らかに普通じゃない雰囲気。

俺が着いても、エンジン切って待ってろって言ったまま、ボソボソ何か話してた。

「・・・はこのまま帰せ」

「あいつは大丈夫ですよ。それより・・・」

途切れ途切れに会話が聞こえてたけど、結局俺は運転していく事になった。

何だか嫌な予感がしたけどね。

後ろのハッチが開いて、何か積んでるのが分かった。

でも今回はドラム缶とか、段ボールじゃなかった。

置いた時の音がね、いつもと違ってた。

重そうなもんではあったけど。

更に変だったのが、SさんとKさんが同乗した事。

いつもは俺一人で、ベンツについてくだけなのに。

しかもいきなり首都高に入った。

あそこはカメラもあるし、出入口にはNシステムもあるから。

こういう仕事の時は、一般道でもNシステムは回避して走るのに。

首都高の環状線はさ、皇居を見下ろしちゃいけないとかでさ、何ヵ所か地下に入るよね。

恥ずかしながら、俺は運転には自信あるけど、道覚えるのは、苦手なんだよね。

多分環状線を、2周くらいしたと思う。

車が途切れたところで、突然Nさんが乗るベンツ

が、トンネルの中で、ハザード出した。

それまでSさんもKさんも、ひと言もしゃべらなかったけど、Sさんが、右の車線に入って止めろって。

言われるままに止めたよ。

そこって合流地点だった。

で、中洲みたいになってるとこに、バックで車入れろって言うから、その通りにして、ライト消した。

両側柱になってて、普通に走ってる車からは、振り返って見たとしても、なかなか見つけられないと思う。

Nさんが乗ったベンツは、そのまま走り去った。

SさんとKさんは、二人で荷物を下ろしてたけど、俺にも下りて来いって。

俺はこの時も、嫌な予感がした。

今まで呼ばれた事なんて無かったし。

SさんとKさんが、二人で担ぎ上げてるビニールの袋。

映画とかでよく見る、「死体袋」とかいう黒いやつ。

もう中身は、絶対に人間としか思えない。

とんでもない事に巻き込まれたって思って、腰が痛くなった。

多分腰抜ける寸前だったんだろう。

何で組の人じゃなくて、俺なの?ってその時は思ったけど、その理由も後になれば分かったんだけど。

で、Sさんがポケットに鍵があるから、それ使って、金網の扉の鍵開けろって言うから、言う通りにした。

金網開けて、5~6メートルで、また扉にぶつかる。

扉というより、鉄柵って感じかな。

だって開ける為の把手とか無いし、第一鍵穴すら見当たらない。

どうすんだろうなーと思ったら、またSさんが別のポケットを指定。

今度は大小ひとつずつの鍵。

コンクリの壁にステンレスの小さい蓋が付いてて、それを小さい方の鍵で開ける。

中に円筒形の鍵穴があって、それは大きい方の鍵。

それを回すと、ガチャって音がして、柵が少し動いた。

右から左に柵が開いた。

壁の中まで柵が食い込んでて、その中でロックされてる。

鍵を壊して侵入は、出来ない構造らしい。

更に先はもう真っ暗。

マグライトをつけて先に進んだけど、すぐに鉄扉に当たった。

『無断立入厳禁 防衛施設庁』

って書いてあった。

これは不思議だった。だってここ道路公団の施設だよね?

ていうか、こんなとこ入って、平気なのかなって思った。

まあこの人たちのやる事だから、抜かりは無いとは思うんだけど、監視カメラとかあるんじゃないのって、不安になった。

まあ中に進んだら、もっと不思議なもんが、待ってたんだけどね。

鉄の扉も、さっきの鉄柵と同じ要領で開いて、俺たちは中に入った。

続く

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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