僕がバイトに向かっている時、小学二年生のミコトちゃんに出会った。
ミコトちゃんはお隣の斉藤さん家のお子さんだ。一人暮らしの僕に何かとよくしてくれる斉藤さん。ミコトちゃんも僕に懐いてくれているようだ。
僕「やあ、ミコトちゃん」
ミコトちゃん「うん…お兄ちゃん」
いつもは笑顔で挨拶を返してくれるミコトちゃんだが、今日は違う。具合が悪いのかな?
僕「具合が悪いの?」
ミコトちゃん「ちがうの。お兄ちゃん、いちたひ」
僕「へ?」
ミコトちゃんが何を言ったのか解らなかった。でも、「行きたい」と言ったんだと無理矢理解釈。
僕「一緒に行きたいの? ダメだよ。お兄ちゃんは今からアルバイトだからね」
ミコトちゃん「ちがうの」
僕はわけがわからなかったけど、バイトに遅刻しそうな時間になったので、ミコトちゃんにバイバイして駆け出した。
僕(でも、ミコトちゃんは妹みたいで可愛いな)
僕がそう考えていると、歩道なのに何故か目の前に大型のトラックが突っ込んできた。避ける間もなく、僕はそれに…轢かれた…。
一瞬だけ赤く染まり、黒く沈んでいく脳の中。僕は解った。
警告ありがとう、ミコトちゃん。でも気付かなくてゴメンね。ミコトちゃんはまだわからなかったから分けたんだね。
僕は「いちたひ」を理解して眼を閉じた。
怖い話投稿:ホラーテラー 生きたいさん
作者怖話