短編1
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いちたひ

僕がバイトに向かっている時、小学二年生のミコトちゃんに出会った。

ミコトちゃんはお隣の斉藤さん家のお子さんだ。一人暮らしの僕に何かとよくしてくれる斉藤さん。ミコトちゃんも僕に懐いてくれているようだ。

僕「やあ、ミコトちゃん」

ミコトちゃん「うん…お兄ちゃん」

いつもは笑顔で挨拶を返してくれるミコトちゃんだが、今日は違う。具合が悪いのかな?

僕「具合が悪いの?」

ミコトちゃん「ちがうの。お兄ちゃん、いちたひ」

僕「へ?」

ミコトちゃんが何を言ったのか解らなかった。でも、「行きたい」と言ったんだと無理矢理解釈。

僕「一緒に行きたいの? ダメだよ。お兄ちゃんは今からアルバイトだからね」

ミコトちゃん「ちがうの」

僕はわけがわからなかったけど、バイトに遅刻しそうな時間になったので、ミコトちゃんにバイバイして駆け出した。

僕(でも、ミコトちゃんは妹みたいで可愛いな)

僕がそう考えていると、歩道なのに何故か目の前に大型のトラックが突っ込んできた。避ける間もなく、僕はそれに…轢かれた…。

一瞬だけ赤く染まり、黒く沈んでいく脳の中。僕は解った。

警告ありがとう、ミコトちゃん。でも気付かなくてゴメンね。ミコトちゃんはまだわからなかったから分けたんだね。

僕は「いちたひ」を理解して眼を閉じた。

怖い話投稿:ホラーテラー 生きたいさん  

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