短編2
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くねくねを思い出した話

昭和の初め頃、夏

その日村総出での大掛かりな野焼きが行われ、大人が皆出張っていた

まだ幼い姉妹二人での留守番、日の一番高くなる頃、昼食の準備をしていた姉は妹が居ない事に気付いた

○子ー、○子ー、

平屋建ての古風な民家、さほど広くない家の中を探し回るが何処にも見付ける事は出来ない

家の前は一面畑で有った、見晴らしの良い景色の中、ポツンと立った人影に良く似た姿は案山子のように思う。そのすぐ側で立ち竦む妹を見付ける事が出来たが

はて、と思う

あんな所に案山子は無かった筈だ

妹は案山子を見たまま微動だにしない

○子ー、○子ー、

声を掛けても此方を向くことすらしない

○子ー、○子ー!

やがて案山子が大きくうねり出す

あれは野焼きから逃げてきた、何か危険な動物に違いない

妹を呼ぶ声が徐々に悲鳴じみる

○子ー!○子ー!!

妹が動き出す、しかしそれは先程の案山子の動きを真似ているようで、やはり姉の声は届いて居ない様子だ

○子ー!!

案山子が動き出す、山の方へ遠ざかっているようだった

妹も動き出す、山の方へと…

きゃぁあ!!

誰かの悲鳴が聞こえた、姉の物ではない

野焼きから帰った大人達だった

悲鳴は恐らく姉妹の母だろう

複数人の男達が妹の元へと駆け寄り取り押さえた

そして鍬を振りかぶり…

姉は、全てを見ずに意識を失った

あの案山子はもう居ないよう思った

目が覚めると其処は隣町の寺、特有の香で目覚めてからも頭がクラクラしたらしいが優しい住職の手により体を起こされる

「大丈夫だよ、○子ちゃんは体こそ持って行かれたが、…上に迎えられたよ」

あの案山子はこの土地に古くから居る山神の類だと聞いた

以上が祖母が話してくれた妹の話

妹は死んだが助かったんだと語る、その目は真剣そのもので身内の色目無しにも何処と無く信用出来るんじゃ無いかな、と思う

祖母の妹は戸籍上居ない事となっている、私はこの話を聞いてクネクネを思い出して、ちょっと信じた。

詳細わからなくって、ごめん。

私自身十年も前に聞いた話を思い出しながら綴ってみた

怖い話投稿:ホラーテラー 動物嫌いさん  

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