中編3
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最強の女

俺の姉貴は 幼い頃から霊感が強く、いろんな霊を見てきているらしい。

だけど、姉貴が怯えてたりとか 危ない目に遭ったという事は聞いた事がない。

それはやはり、姉貴の性格のせいだろうと思う。

とにかく恐い!

そして口が悪い。つか、言葉遣いが荒い。

女の子と動物には優しいが、男(特に俺)には厳しい。

なのに、間をあけずにいつも彼氏が出来るのは 世界の七不思議に入るんじゃないだろうか。

俺が、友達と心霊スポットへ遊びに行って帰ってきた夜の事だ。

居間で雑誌を読んでいた姉貴が、俺を一瞥し

「……………フッ」

と、鼻で笑った。

なんだよ、気分ワリィな…と思いつつ

「なんだよ、姉ちゃん」と聞くと

「ば〜か。何憑かれてんだよ、お前」

と言う。疲れ?まぁ、確かに ちょっと肩がこってるかも。

「今日は行きも帰りも、俺が運転だったからなぁ。

それで疲れたんかも…」

「はぁ?誰がお前の疲労度なんか気にするよ。

お前は、一体何を連れてきたんだ?って聞いてんだよ ハゲ!」

…………ハゲって!ハゲてねぇし!

いや それより、俺が何を連れてきたって……?

青くなっている俺にかまわず、また雑誌を読み始める姉貴。

しかしすぐに、雑誌をテーブルに叩きつけると

「…お前 今なんて言った?」

と 俺を睨みつけてきた。

は!?俺何にも言ってねぇし!

しかし姉貴は、立ち上がりなおも

「今 なんつった?って聞いてんだよ!」

と 詰め寄ってくる。

えぇえ〜!?何怒ってんの、この人!

目が怖いんですけど…。

「もう一度言ってみな。」

目の前まで来て、さらに凄む姉貴。

「お、俺なんにも…」

情けないが、ミツゴの魂百までも…ってやつで 俺は姉貴に逆らえない。

一度 中学生の時に(ハンコウキ?)歯向かったら、ハンパなくボコられて 終わった事がある。

「テメェは黙ってろ。」

俺をジロッと見てから、俺の後ろを睨みつけている。

「なんだ?急に喋れなくなったんか、おい!!」

…ヤメテくれよぉ(泣)誰に怒鳴ってんだよ〜!

次の瞬間、ドタドタドタ!と足音がして 居間のドアがバーンと開いた。

「あっ?逃げんなコラ!」

と姉貴が追いかけて行く。

マジかよ……。本当に何かいたよ、俺の後ろに!

あんな音がしたり、ドアが開いたりしなかったら 姉貴のタチの悪いイタズラで 済んだかもしれなかったのにぃ……。

少しして 姉貴が戻ってきた。

「チッ!逃げ足が速い奴だな!」

「あのさ、なんて言われたの…?」

「あ? あたしの事を、『なんだ、男か…』って言いやがった あのジジイ!」

爺さんだったのか。

しかし霊とはいえ、爺さんが全力で逃げ出すって どうなの!?

わかる!俺には爺さんの気持ちが、わかるぞ!

「何ニヤついてんだ?殴られてーのか!」

って言った時には、すでに俺の頭を殴ってんですけど……。

そういうわけで、俺にとっては 幽霊より姉貴の方が怖いのである。

早く 嫁にでも行っちまえ!

この投稿を、姉貴が読んでたりしませんように。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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