中編3
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捨てる側の気持ち

またまたビビりな福岡県民の、お話です。

今回は、親戚のおばちゃんの悲しいお話をご紹介いたします。

おばちゃんは、旦那さんと熟年離婚しました。

ま、親戚中じゃネタ話になってましたが…

なんやら原因は、別れる2年か3年か前から続いていた不倫だったそうな。

ま、確かに旦那さんはダンディでハーレーを乗り回す 無茶苦茶かっこいい おっちゃんだったから…

ま、あの おばちゃんには釣り合わな…

と、いうことだと俺は解釈しています。

そんな、おばちゃんが柴犬を飼ったらしい。寂しかったんだろね…

子供達も巣立ち、旦那さんから家を出ろと言われ

独りでアパート暮らしになった、おばちゃんの唯一の身近にいる家族だった。

ソフトバンクのお父さんみたいな、かわいい犬でした。

おばちゃんは、人間のように接していた。

よほど、かわいかったんでしょうね。

いっぱい、犬の服とかありましたし

家に遊び行けば、犬グッズが山のようにありました。

もう、家族なんですよ。

そんな、おばちゃんが犬を飼い始めて6年後

急に病気になった。

それを知った、埼玉にいる息子さんが

埼玉で一緒に暮らそう。

そう言ったらしい。

おばちゃんは、嬉しかったでしょうね…

でも、息子さんのマンションはペットを飼えない。

すげー悩んだらしい。

6年間一緒に過ごし、家族同然のように生活してきた犬を手放したくなかったと思う。

おばちゃんは、埼玉に行く決心をした。

犬を、親戚中を回り近所を回り誰か代わりに飼ってくれる人を探したらしいけど

誰も 飼いたい人はいなかったようだ。

案の定、俺の親にも話がきたけど当時 うちも犬を飼っていたので無理ということで断った。

おばちゃんは、もう捨てるしかない…

そう思い、山へ犬を連れていこうとしたら

犬が感づいたのか、暴れて車に乗らなかったらしい。

その時ばかりは、始めて おばちゃんに吠えたらしい。

おばちゃんは涙をポロポロ流しながら、

『ごめん、ごめん…』って無理矢理犬を車に乗せ山へ向かった。

犬には、ひどい気もします。

だって、寂しかったから犬を飼い必要なければ捨てる。

でも、そのことは

おばちゃんが一番わかっていたはずです。

山に向かうまでの道のりは、涙で前が見えず 6年間の思い出が走馬灯のように何度も駆け巡ったそうです。

犬は、観念したのか

すごく大人しかったそうです。

そして、人里離れた山の原っぱに着いて車を止めると

犬が暴れ出したそうです。

やっぱり…捨てれない…

でも…

そんな、気持ちが頭の中をグルグル回りながらも

暴れる犬を抱えて原っぱの真ん中あたりまで歩いたそうです。

クーン クーン

と鳴いたそうです。

ごめんね。ごめんね。

と、言いながら犬を地面に下ろそうと腰をかがめると

また暴れたそうです。

涙が溢れながら、離すと犬は一瞬 穴を掘る仕草をした瞬間

ザッザッ

ダァーーーーーッ

おばあちゃんにむかって後ろ足で砂をかけると

山へ、一目散に振り返らず走って行ったそうです。

しかも、今まで聞いたことのないような歓喜の声をあげて…。

おばちゃんは、犬にも捨てられたようです。

犬の気持ちなんて、誰にもわかりません。はい。

怖い話投稿:ホラーテラー 福岡県民さん  

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