短編2
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いちばん綺麗なお姫様

あるところに、いちばん綺麗なお姫様がおりました。

子供の頃から大人になるまで、いちばん綺麗なお姫様でした。

人間はもちろん、犬や猫や蝶、お姫様を見たものはみんなその美しさに魅了されました。

殿様はこぞって結婚を申し出ます。

「いちばん綺麗なお姫様、どうか私の妻になってください。あなたの望みは何でも叶えましょう。」

しかし、お姫様は決まってこう言うのでのす。

「いいえ。私の望みは一つだけですが、あなた様では決して叶えられません。」

そんなある日のことです。

とうとう神様までも、いちばん綺麗なお姫様に結婚を申し出たのです。

「いちばん綺麗なお姫様、どうか私の妻になってください。あなたの望みは何でも叶えましょう。」

お姫様はこう言いました。

「あなた様なら、私の望みを叶えてくれるでしょう。私の望みは一つだけですが、もしも叶えてくれるならあなた様の妻となりましょう。」

神様は喜びました。神様に叶えられない望みはありません。

「それでは、お姫様の望みは何ですか。」

いちばん綺麗なお姫様は言いました。

「私の姿を見るもの全ての眼球を取り出して、あなた様のお御足で踏み潰してください。今すぐです。私の目の前で、踏み潰してください。」

神様はすぐにその望みを叶えました。

「あなたの望みは叶えました。これで私の妻になってもらえますね。」

しかし、お姫様は首を横に振りました。

「いいえ。まだあなた様の眼球が残っております。」

神様はすぐに自分の眼球を取り出し、踏み潰しました。

「あなたの望みは叶えました。これで私の妻になってもらえますね。」

お姫様は言いました。

「はい。あなたの妻となりましょう。このようにいちばん醜い姫ですが、あなたの妻となりましょう。」

お姫様の望みは叶えられました。

こうして、いちばん醜いお姫様は誰にも見られることはなくなりました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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