短編1
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星を見る少女

ある晴れた夜。

自分の部屋に帰ろうとアパートの階段を上っていた青年が、向かいのアパートの窓際に少女が立っているのに気付いた。

少女は空を見上げている。

青年も空を見上げてみた。

満天の星が輝いている。

あの子もきっと夜空の美しさに見とれているのだろう。

少女に微笑みかけてみたが、気が付かないようだ。

少しがっかりして、青年は自分の部屋に入った。

次の日の夜も、少女はまったく同じ体勢で星空を眺めていた。

そんなに星が好きなんてロマンチックな子だなと青年は思った。

初めて会ってからまだ2日目なのに、青年はすっかりこの子を好きになってしまった。

その翌日は、雨だった。

家に帰る足取りも重い。

こんな天気ではあの子も空を見てはいないだろう。

しかし彼女はその日もまったく同じ姿勢で空を見上げていたのだ。

今日こそ話しかけてみようと青年は思った。

そして向かいのアパートに行き、階段を一気に駆け上がって、彼女の部屋の前に立つ。

ノックをしたが、返事がない。

厚かましいと思ったがドアのノブを回してみた。

鍵はかかっていなかった。

少しためらってからドアを開け、室内を見た青年は全てを悟った。

女の子は、確かに窓際にいた。

だが立っていたのではない。

窓枠にロープを縛りつけ、首を吊って死んでいたのだ。

怖い話投稿:ホラーテラー レノさん  

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