短編2
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舌打ち

2歳半の娘を散歩させていた時の事です。

背後に気配を感じたので脇に避けました。

すると、電動車椅子のお爺さんが私達の横にピタリと止まり、娘をじっと見ています。

私が軽く会釈をしたら、娘が「こんにちは」とお爺さんに言いました。

お爺さんはニコッと微笑み、何も言わずに去って行きました。

数分後、遠くからさっきのお爺さんがこちらに戻ってきているのが分かりました。

また横にピタリと車椅子をつけ、

「1つ持っていきな」

ビニールに入った、たこ焼きでした。

丁寧に断ったけど、無理矢理娘に持たせて走り去ってしまいました。

小さい子と話す機会がなくて嬉しかったのかな?とその日は思い帰宅しました。

数日後、お爺さんにバッタリ会いました。車椅子のカゴには見覚えのあるたこ焼きの袋が…。

「1つ持っていきな」

今回は丁寧に断り続けました。あげる、いらないと3回やりとりした後にお爺さんが怒った口調で

「こういうもんは素直に受け取るもんだ…もういい」

と言って去ってしまいました。こういうもの?と考えながら数日が経ち、娘と散歩していると耳元で

「チッ」

と確かに聞こえました。周りを見ても至近距離に人はいません。ふと視線を感じた木の陰を見ると、あのお爺さんが車椅子に乗ってニヤニヤこちらを見ていました。

またお爺さんの舌打ちが聞こえたら…

どうなるんだろう?と思うと散歩が少し怖いです。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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