短編2
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呪い

実家の近所に日野文江さん(仮名)という少し変わった人がいます。

齢は50手前だそうですが見た目はお婆ちゃん。

一人暮らしをされています。

何が変わっているかと言うと人の家に勝手にあがったり人の飼っている犬を連れて帰ったり車に傷をつけたり…

始終独り言をつぶやきながら何かしら嫌がらせを繰り返し警察のお世話になっている人で近所からは厄介者とされています。

警察や近所の人が注意しにくると必ず言う言葉が

「身体が痛くてたまらない。だから仕返しをしている」

…私の実家は田舎で父はいくつか山を持っています。

ある日父の山に電柱を立てたいので許可をもらいに電力会社の人(?)が来ました。

昔は自分の山と言っても境界線というのがとてもアバウトで父は祖父から譲り受けた山がどこまでが自分の山かはっきり分からない。

それでどこに電柱を立てるのか一緒に見に行ったそうです。

途中まで車で行き歩いて細い道を下りしばらく行くと道が切れて道なき道をひたすら歩く。

「もうすぐです」

電力会社の人が言いました。

父が息を切らし太い大きな木に手をついて空を見上げました。

電力会社の人が振り返り父を見た時

「あ!!!!」

電力会社の人は大きな声で叫びました。

父がビックリし電力会社の人を見ると父が手をついている太い大きな木を指さしています。

…わら人形がありました。

たくさんの釘が打ち込んでありました。

「ここにもある!!!」

見ると後ろにも。

同じように釘がたくさん打ち込んでありました。

わら人形と一緒に写真がありましたが釘がたくさん打ち込んであるので誰だか分かりません。 

空はどんより曇りとてつもない恐怖を感じました。

「また今度にしてくれ」

父は言い急いで帰って来ました。

電話をかけ何やら話をして「ちょっと出てくる」

と言い残し夕方親戚のおばちゃんを連れて戻って来ました。

そのおばちゃんは霊感が強くボランティアでお祓いをしているそうなのですが私はこの時初めて知りました。

母がお茶を用意している間に父はおばちゃんと再び山に向かったそうです。

わら人形をおばちゃんに外して貰った時写真と一緒に髪の毛の束が落ちてきた。

写真の顔は分からなかったけど写真の後ろに名前が書いてあった。

名前が

 日野文江じゃった。

父はなんとも言えない顔で私に話ました。

日野さんの言っていた言葉はまんざら嘘ではなかった。

勿論本人には言えません。

あれから数ヶ月経ちました。

毎日近所を歩き回っていた日野さん。

あの件以来私は全く見ることがありません。

父が一週間前に見たそうですが家の前で花の手入れをされていたそうです。

呪いとは本当に伝わるものなのでしょうか。

怖くなくてすいませんでした。

怖い話投稿:ホラーテラー じゅりさん  

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