短編2
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居酒屋で

まだ若い頃に居酒屋でアルバイトをしていました。

そこは個室を3つとカウンターが6席の小さな店でした。

夕方4時に出勤して、掃除やら開店準備をして、有線をつけるのです。

いつもの演歌…がかからないんです。

故障…?

なんて店長と調べていると、

「あぁぁぁぁ」…………

低い男の声が聞こえた気がしたんです。

店長と私は…無言で有線の機械を見つめました。

電源…Offになっていました。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ」

やっぱり気のせいじゃない。

店長はガタガタ震えて、腰を抜かしていました。

私も驚いて…その場で固まっていました。

奥の座敷でガン!と大きな音がします。

腰を抜かした店長が

「み…見てきて!!」

と言うので、仕方なく座敷へ向かいました。

襖が何故か外れて倒れているのが見えます。

恐る恐る…座敷の中を覗いてみました。

真っ黒い影の塊がフワフワ浮いてるんです。

小さな黒い虫の大群みたいな感じでした。

私がソレから目が話せないでいると…

ソレは形を変えて、目だけが鈍い黄色っぽい色で浮き出ました。

目玉みたいなのが、ギョロギョロ動いて…黒い塊の中を動き廻っているのです。

私は怖すぎて、店から逃げました。

店長は先に出てしまっていたらしく、店の外で立ち尽くしてます。

もう1人の従業員が来た事で少し落ち着いて、3人揃って店に入りました。

その時には、有線もいつもの演歌になってました。

電源Offだったハズなのに…

奥の座敷は倒れた襖だけが残って、あの塊は消えてました。

店長も私も脱力感いっぱいで営業をしましたが、何も起こらずに無事に帰宅しました。

姉に話したら、

「通りすがりのヤツがいたずらしたんじゃない?」

なんて一言だけで…

変なモノが憑いてなくて安心しましたが…怖かったです。

また何か思い出したら、投稿させていただきます。

怖い話投稿:ホラーテラー 坂道さん  

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