中編5
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白い女の子

久々の投稿で2回目です。長くなったらすみません。同じタイトルの投稿がありますが、別物です。

あれは、今から2年前の夏だったろうか。

夏休みを使って私たちのゼミは卒論中間発表と銘打った合宿を毎年行っている。

といっても、文系で金はなく、しかし人数だけは多く、バスは小さな古いバス1台のみ。

移動手段がある人は乗り合わせを利用するなりして欲しいとのことだった。

私は車はないが、バイクがあった。

250ccながら、速く、大きく、バイクに興味なかった俺に買わせる程カッコよかった。

バイトの量も増やし、苦労して買った愛機だ。

車組は国道で行くらしいが、私はバス先頭のノロノロについて行くのが嫌で、違う道を通ることにした。

これがヒドイ道で、一応国道なのだが、車のすれ違いもできないくらい狭く、街灯すらない峠だ。

中でも嫌な地点が2箇所ある。

トンネルだ。立派なものじゃなく、壁や天井は凹凸があり、それだけなら良いのだが、道路までガタガタときた。

加えて、明かりがないのだ。

昼でも真っ暗。

バイクのライトが照らす壁のシミがいやに怖く、排気音がグワングワンする。

道幅はトンネル内はさらに狭くなり、信号がついているほど。

とはいえ、この道は狭く荒いが、とても空気は綺麗で景色もよく、夏は涼しいので、よく通っている。

その日も

「下界は暑くて大変じゃのうwww」

とルンルンで峠をスイスイと越える。

バイクの特権だなぁ、、、

なんて考えながら最初のトンネルを抜ける。

2つめのトンネルの真ん中辺りで俺は急ブレーキをかけた、そしてガシャッと立ちゴケしてしまった。

バイクを起こす前に、来た道を走り出す。

人を轢いてしまったかもしれないのだ。

バイクのヘッドライト程の身長の子供だった。

駆け寄ってホッと胸を撫で下ろした。

女の子は俺に背を向け、宙空を見ているようだった。

そりゃこんな暗いトンネルでいきなりバイクが掠めたら茫然とするよなぁ。

「お嬢ちゃん!大丈夫!?怪我無い!?」

「・・・」

「よかったぁ、俺、はねちゃったと思って、、、」

女の子はクルッとこっちを向いた。

そしてニコって笑った。

私はロリでは無いが、その笑顔が今でも忘れられなくなっている。

肌は雪みたいに真っ白で、

服も白く

美しかった。

天使みたいだった。

自然と、その子を抱き締めたい衝動に狩られていた。

その時、

プップッ!

後ろから車のラッパが鳴り、バタンとドアを閉める音がした。

「君ぃ!大丈夫〜!?」

良く考えれば、バイクは道の真ん中でひっくり返ったままだ。

「あっ、すいません!」

「どうしたの?スピード出しすぎて飛んだ?」

「あ、いぇ、あの子が」

「どの?」

「いやあそこの、、、」

振りかえって、指をさしかけて止まった。

女の子はいなかった。

女の子はいなかった。どこかに隠れているのかもと思い探してみたが、どこにいるわけでもなかった。

車の人には、幻覚が見えたんじゃないかな?

何ていわれてしまった。

確かに女の子の方からは何もしゃべったわけでなく、微笑んだだけだ。

とりあえずバイクを起こして、損傷はほぼ無いことを確認すると、車のおじさんに頭を下げて、

合宿の会場ヘ向かった。

あんなことがあったが、俺のほうが30分ほど車組みより早くついた。

荷物を運び出し、午前10時から午後6時まで退屈な時間をすごす。

いつもどおりの皆だった。あることを除いては。

しきりに皆が、

「カインくん、具合悪いんじゃない?」

と聞いてくるのだ。

別に悪くないよ~。

と最初のほうは笑いながら答えていたが、さすがに発表が終わって、飲み会タイムに移行した時にまで聞かれるので聞き返した。

「何で?そんなに顔色でも悪いか?」

すると意外な答えが返ってきた。

「悪いよぉ。鏡見てきなよ。」

トイレの鏡を見て、えっ!?と言わざるを得なかった。

顔から血の気が失せている。顔だけじゃない、クーラーがキンキンに効いているためジャケットを脱がなかったので気づかなかったが、

腕も首も、体から血の気が失せている。

「ねぇ、カインさん。」

呼ばれた方向をみると、後輩の女の子だった。

「その子、誰ですか?」

はっ?誰のこと?

「発表の間もずっと先輩の隣に座ってましたよ。」

恐る恐る足元を見ると、

あのトンネルの女の子が俺を見上げている、あの天使のような笑顔で!

うわあああ!

思わず叫んで尻餅をついてしまった。

女の子は笑い始めた。

とても無邪気な笑い方だ。

ふと自分の手を見る。

もう血が引いたなんてレベルじゃなかった。

真っ白になっていた。

「駄目!先輩に悪戯しちゃ駄目!!」

後輩が叫んだ。

すると女の子は今度は泣き始めた。そして気づけば居なくなっていた。

肌の色は元通りになり、その後輩以外の奴には、

実は気持ち悪かったんだよねww

と嘘をついた。

あれから大分たつが、肌から血の気が失せることはなくなったが、

あの女の子はたまに出てくる。

何か悪さをするわけでもなく、俺の肌の色も変わらないので。

「あぁ、また来たのか。」

なんて軽くあしらっている。

声をかけると、10mくらい先に居たのが、気づくと足元に居て笑っていたりする。

寝てると鳴きそうな顔でベッドの前でこっちを見ている事もある。

無視する事もあるが、声をかけると、布団の中に入ってくる。(ハァハァ)

たまーにバイクに乗ってると、肩が重くなることがある。

そういうときは決まって後ろにちょこんと座っている。

見える人には見えるみたいで、

「ヘルメットかぶせなきゃ駄目じゃないか!こんなに可愛い妹さんを!」

「お嬢ちゃん顔色悪いけど平気?」

なんて声をかけてる人が居る。

決まって俺の返事はこうだ。

「そいつ、普通の人には見えませんから。それと、あまりみないほうがいいですよ。

魅入られたくなかったらね。」

でも実はそうじゃない。

あの笑顔を見れなくなるのが嫌なんだ。

他の人にこの子が行ってしまったら、あの笑顔がもう見れなくなる。

それが嫌なんだ。

そういえば、最近体重がガタッと落ちたな。

あの子が心配するから、もっとベストな体重をキープしなきゃな。

終りです。

あまり怖くなくて申し訳ないです。

怖い話投稿:ホラーテラー カインさん

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