実体験です。
私が、二年前の冬…関西のとある野池へ夜釣りに行った時の出来事です。
その日は、夕方から雪が降り続き夜には辺り一面に数十センチの積雪がありました。
冬の釣りは、バス釣りをする人なら解ると思いますが、寒い中で釣りあげるのは困難な変わりに釣った喜びはかなり大きい、いわば冬の風物詩でもあり、毎年恒例になっていました。
私が野池についたのが夜中11時頃でした。しんしんと、降る雪の中、湖面に糸をたれながら、街灯の灯りだけを頼りに釣りに集中しておりました。
隣接する病院の光が印象的だったのを覚えています。
私が釣りを始めて、1時間ほどがたっていました。雪は降り止んでいて、真っ白な雪景色と漆黒の闇といった幻想的にさえ感じるような雰囲気でした。
突然、声が聞こえたのです。
声の主は、年老いた白髪の老人でした。
老人『釣れますか?』
私『今日はダメですね。まっ冬の釣りの雰囲気が好きなので』
老人『…そうかねぇ…冬の夜は静かやからね。この池の水はとても温かい。』
私はそんな馬鹿な、野池で温泉なども湧いていない事もしっていましたが老人の話を否定するのも気まずく感じ…
私『温かい?!温水でも湧き出ているのですか?』
老人『あんたも、池に浸かってみるとええよ。さぁ』
私『いやいや、こんな寒い日に…間違いなく死にますよ(笑)』
と!私が話を返すと、そこに老人の姿は有りませんでした。
その直後!急に、物凄い寒気におそわれた私は、すぐに竿を片付けて車に戻りました。
とにかくコンビニにでも明るい所に行きたくなり、車を走らせました。
その途中、車を運転しながら先程の老人の姿が頭をよぎりました。
そう、さっき野池で話かけてきた老人の服が…真冬にも関わらず半袖シャツだった事…
そして、雪に老人の足跡がなかった事…。
あれはきっと、あの野池で冬に溺れて死んだ人の霊だったのだと… そして、老人の言葉の『あなたも浸かればわかる』と言うのは、きっと道連れにする為の言葉だったと…
それ以降、夜の釣りはいかなくなりました。
怖い話投稿:ホラーテラー 釣り人さん
作者怖話