中編4
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創作3(S4)

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落ち着きを取り戻した子供にビリーが尋ねた。

「んで…君の名前は?」

「ペナン…ペナン・ウィディ」

「ペナンか…珍しい名前だな。」

「おじさん達は?」

ペナンは真ん丸の黒目を輝かせてニック達に尋ねる。

「俺はニック。そして、さっき君にアメをあげようとしてた怪しいおじさんがビリーだ。」

「うん。ニックさんと、怪しいおじさんビリーだね。」

「いや、待てよ。何でニックは普通に名前だけなのに俺には変な称号が付いてんだ?おかしいだろ!?」

「いや、別におかしくないと思うが…」

「…………。」

「それはそうと…ペナン、ここで何が起こったのか知っている事を話してくれないか?」

「機械の怪物が襲ってきたんだ…」

ペナンの顔色が曇る。

「ほらみろ、ニック!

やっぱりトランス○ーマに襲撃されたんだよ。」

「……ビリーさん、ホントにおかしなおじさんなの?」

「なっ…!?」

「ははは、ペナンは正直な子だな。」

「笑うなニック!」

一瞬、場の空気が和んだ…しかし、ペナンは再び真剣な顔になり、子供ながらに事のなり行きを話始めた。

「怪物は、突然現れたんだ…。みんなあいつをやっつけようとして、頑張って戦ったんだけど…あいつにやられちゃった。」

「ペナン、怪物は鉄の固まりだと言ってたな?大きさはどの位だ?」

「家よりも大きいんだ。

だけど、人の形にもなれて…それで、みんなを騙してやっつけちゃうんだ…」

「おいニック、もしかして…」

「恐らくだが…ナイトメアだな。」

ニックとビリーの顔に緊張の色が浮かぶ。

「ペナン、怪物が今どこに居るか分かるか?」

「わからない。でも、夜になると出てくるんだ。」

「君のお母さんやお父さんは?」

「パパもママも、他の人達と一緒に部屋に閉じこもってるんだ…」

「…他の人!?生きている人が君のお父さんとお母さん以外にも居るのか?」

「うん。…だけど、みんな僕の事を部屋に入れてくれないんだ…」

「…どうして?」

「わからない…」

そう言うと、ペナンは黙り込んでしまった。

ニックとビリーは互いに顔を見合わせ、小声で話し出した…

「マジかよ…。自分の子供をこんな危ねぇとこにホッポリ出す親なんて居るのかよ!?」

「分からん…だが、何か事情が有りそうだな。」

「はあ?どんな事情があるんだ?獅子は子を谷に落とすってやつか!?」

「…何か違う気がするが。とにかく、ペナンに他の皆が隠れている部屋まで案内してもらおう。

……ペナン、皆がいる場所まで案内してほしいのだが?」

「いいよ、それじゃ僕に付いてきて。」

そう言うと、ペナンは勢いよく走り出した。

2人は、そんなペナンの後を追いかける。

細い路地を抜け、損壊した家屋の中を抜け、気が付けば集落の外に出ていた。

「なぁ、ニック。一体何処まで走る気なんだ?」

「それはペナンに聞いてくれ。」

「…にしても、子供の体力ってすげぇな。どこにあんな元気が有り余ってるんだ?」

「…………。」

走り続けていたペナンの足が止まった。

3人の目の前には、コンクリート造りのシェルターの様な建物が現れた。

だが、建物への入口らしきものが見受けられなかった。

「ここだよ。みんなこの中に居るんだ。」

「なぁ、ペナン。この中に入る入口は何処にあるんだ?」

「こっちだよ。」

 そう言うと、ペナンは建物の裏手に回った。

「ここだよ、ここ。」

「仮設トイレ………?」

「ペナン、確かにここにENTERって表記があるが…

ここはトイレだぞ?

…ほら、見てみろ。ニックが困った顔してるだろ?」

「でも、ホントにここだよ。」

ペナンの表情は真剣だった。

ペナンが嘘をついていないという事は、すぐにわかった。

見てくれは只の仮設トイレのその入口を潜れば、中は鉄板で補強され、便器があるはずの場所には地下へと続く長い階段があった。

「ここを降りて行くのか…」

「成る程な。階段をカーブさせて真後ろに位置するシェルターまで地下で繋いでる訳だ。」

「ビリーさん、そんな事一々言わなくても分かるよね?」

「おお、ペナンはいい子だな。全くその通りだ。」

「こら、お前等2人、俺に何の恨みがあんだよ!?」

ニックとペナンは、そんなビリーを軽く笑い飛ばした。

「くそ。バカにしやがって…」

「怒るなよ、ビリー。少しからかっただけだ。悪かったな、勘弁してくれ。」

そうこうしている間に、3人は地下の階段の終点に到達した。目の前には分厚い鉄の扉…

「ここだよ。」

「ああ、着いたのはいいが…ペナン、君はここから追い出されたんだろ?だとしたら中の人間は君を入れてくれないんじゃないか?」

「おじさん達が入れてくれるように頼んでよ。」

「確かに、俺達が頼めば開けてくれるかもな。」

ビリーはそう言うと扉に向かって、

「すみません!化け物に追われて道に迷ってしまったんです。どなたか居たら、ここを開けてください!!」

ビリーの呼び掛けも虚しく、中からは何の反応もなかった…

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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