中編4
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宅配便の都市伝説

これは僕がアルバイトをした大きな運送会社のお話です。

都市伝説みたいなものだと思うんですけど、この話自体は怖くありません。

僕は宅配便のドライバーをしていました。

働いていたカラオケ店が潰れ、転職の為の半年契約の期間雇用です。

僕はトラックではなく、軽ワゴンでの配達です。

朝6時に会社のプラットホームに行き、荷物を端末機(レジのハンドスキャナみたいなモノ)で読み込み、

それぞれの住所に届けて、いなかった家には不在通知を入れ、荷物は会社に持ち戻ります。

その日の朝…

奇妙なダンボールの荷物を積み込みました。

荷物の差出人は不明…

そのダンボールは今にも朽ち果てそうなくらい古く、

色んな運送会社の配達ラベルがびっしり貼ってありました。

僕は「どんだけ再利用するんだよ!」と思い、先輩に見せました。

…!

先輩(40)は真っ青な顔でダンボールを払いのけました。

僕「…!?えっ」

先輩「いいか!バイト!この荷物だけは持って帰ってくるなよ!」

先輩「もし不在でも、必ず帰ってくるまで待て!」

僕「!?」

先輩「絶対に届けろ!いいな!」

体育会系のこの職場では、先輩の命令は絶対です。

貴重品でもないのに…

日時指定だって無い…

なんだって言うんだ…

配達する車の中で、誰も聞いてないのをいい事に

一人で文句を言ってました。

そして、いよいよ問題の荷物の家です…

…ピンポーン

僕「宅配便でーす!」

×2

やっぱり居ないね…

マジかぁ…

夕方頃に全ての宅配を終え、問題の家の前に車を停めて

家の人が帰って来るのを待ちました…

転職情報誌を読みながら、待つ事3時間…

ようやく家の人が帰ってきました!

…すると

僕「あれ!?」

僕の宅配ワゴンを見ると、まるで逃げる様に家に走り込み、カギを掛けられました。

もう時計は夜10時を回っています…

ピンポーン!

ピンポーン!

僕「宅配便でーす!」

困ったな…居留守か…

僕「すいませーん!」

ガチャ…

おばちゃんが出て来ました

ドアのチェーンは外してくれませんでした。

おばちゃん「荷物はいらんから!帰っておくれ!」

僕「そう言われましても…」

僕「それなら受け取り拒否の用紙に一筆書いて頂かないと…」

おばちゃん「わかったよ!一筆書いたら帰ってくれるんだね!?」

僕「はい…ちなみにこのお荷物なんですが…」

僕が荷物を見せると、おばちゃんの顔は真っ白になりました…

そしてその場にしゃがみ込み泣き出したのです。

おばちゃん「あああぁぁ」

僕「あの…大丈夫ですか?」

おばちゃん「わかった…」

おばちゃん「置いていきな…」

…?

僕「はぁ…ありがとうございます」

おばちゃんの態度の変化に戸惑いながらも、荷物を届ける事が出来きた僕は

ようやく会社に戻りました。

もう夜11時です。

他の連中があがる時間は大体、夜8時…

くそっ!

なんだってんだ!

あの荷物は!

と思いながら会社に着きました…

すると先輩やお偉さんの上司達が心配そうに僕の帰りを待っていました。

上司「どうだ!?あの荷物はちゃんと届けたか!?」

僕「はい…ちょっと揉めましたけど」

先輩「そーか!!良かったな!お前が殺されなくて本当に良かった!!」

…え?

今なんて言いました?

それから上司達と居酒屋に行き、全ての事情を聞きました。

…長くなります。

昭和○○年

当時、高校生の少女がレイプされ惨殺された事件がありました。

逮捕された犯人は近所に住む未成年の少年三人。

当然、彼らは少年院送りの刑罰と呼べない軽い処罰でした。

それに絶望したのが、娘を溺愛していた被害者の母親です。

母親は発狂し、自殺したのですが…

父親に宛て、こんな手紙を遺していました…

「娘を殺した鬼畜を許さない。鬼畜を育てた家族を許さない。私があの娘の怨みを晴らす。呪い殺してやる。私が死んだら私の首を切り取り奴らの家に送れ。」

父親は母親の遺言を守り、加害者の家に母親の首を送ったそうです。

届いた家から、次々と母親の呪いが降りかかりました。

最初の家の人間が全員死んだ後、母親の首は消えていたそうです。

そして人目から逃げる様に引っ越した別の加害者の家にも母親の首は届きました。

しかし、差出人は父親ではありませんでした。

父親は母親の呪いに恐怖し、自らの命を断っていたのです。

母親の首は自らの意思を持ち、加害者の家族を追っていたのです。

加害者の家族は呪いを恐れ、誰にも知られないように散り散りに引っ越し、隠れていましたが

母親の首は確実に届き、一人ずつ呪い殺して行きました。

媒体に使われたのが宅配便です。

そして、母親の首を届けられなかったドライバーは、呪いとしか思えない不可解な死が待っている…

僕「それ本当ですか?」

先輩「あぁ…見たのは二度目だ」

僕「なんで朝ちゃんと説明してくれないんですか!」

先輩「だって…朝は忙しいからさ…」

僕「ちょっ…」

怖い話投稿:ホラーテラー 店長番外編さん  

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