短編2
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アイロン

私には7才になる娘がいる。

何にでも興味を示す年頃。ある日アイロンをかけている私の背中に抱き付きながら、こう尋ねてきた。

「なんでアイロンするの?」

「くちゃくちゃの洋服のシワをなくすためなの。アイロンすると、シワがなくなるのよ」

ほらこのとおり!と、仕上がったシャツを娘に見せる。

すごいね~、すごいね~とはしゃぐ娘。そしてそのあとはもちろん、

「あたしもやってみたい!!」

アイロンは熱くて危ないから、もうちょっと大きくなってからしようね~、と娘をなだめる。

ぶーぶー言いながら、娘はお絵描きを始めた。我が娘ながら聞き分けはいい。

後日、実家から私の両親が孫の顔を見にやって来た。

孫や孫や~、と私の母が娘を可愛がっている間に、私はちょっと買い物に。

買い物から帰ってきたとたん、

「うわっ」

という父の叫び声。

何事かと思い、急いで叫び声の聞こえた部屋へ。

そこには顔の半分が真っ赤に火傷している父の姿があった。

そしてそのとなりにはアイロンを持って大泣きしている娘の姿が。

父の応急手当てをしながら母に何があったか尋ねると、

「〇〇〇(←娘の名前)がどうしてもアイロンをかけてみたいと言うから、アイロンの準備をしたらそのまま父さんの顔に押し付けた。あんまり急だったもんで、止められなかった」

何てことをと思いながらも、娘は泣きやまないし父の火傷はひどいしで、父を病院に連れて行って、両親にはそのまま帰ってもらった。

その日の夜。娘をひととおり叱ったあと、尋ねた。

「なんでじいちゃんの顔にアイロンつけたの!?」

「シワがなくなると思って」

そんな馬鹿な、私の娘はそんなことも分からなかったのか。

さらに叱ってやろうとした時。

「あたしも火傷しちゃうと思ったんだよ!!でも、ばあちゃんがやってみろって」

普段から仲の悪い私の両親。

子供の嘘だと信じたい。

怖い話投稿:ホラーテラー 生トマトさん  

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