短編2
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エレベーターの客人

ある建物の使われていないフロアに間違って降りてしまった。普段は11Fのボタンには小さい貼紙がしていてエレベーターのボタンは押せないんだが、なぜか今日は外れていたようだ。8Fを押した気もするのだが、なんせ毎日仕事で営業にくる場所だしボタンなんか見なくても感覚でボタンの位置は覚えているはずだった。

エレベーターの「上」ボタンを押してドアで待つが、なかなか降りてこない。このビルはエレベーター1つしかないからさ。

なんか、かび臭くてほこりっぽい5Fは、改装工事中だが今日は業者はいないようだ。

ペンキや、工具、ビニールや紙などが散乱している。

昼間なのに電気を付けなきゃ薄暗い。エレベーターは、ようやく1Fに着いたようだ。

もう我慢できない…非常口から行くか…と歩きだすと

『ポンポン…』

スイカくらいの大きさで黄色のボールが、窓際から転がってきた。特に風が吹いたわけでもなかったし誰がいるわけでもなかったが突然転がってきたので思わず声が出た「おぉ…」その声はフロアに響いた。黄色のボールは転がるのをやめて、大きな柱の横で止まった。『ふふっ』と、声がする。声は自分の左後ろから聴こえた。

びっくりして振り返ると、3歳くらいの子供が小さな木の椅子に座り手を太ももに乗せこちらを笑いながら見ている。しかし性別はわからない。

まじで、びびって「うわ!」て声を出し子供を再度見たが、いつの間にか消えていた。世にも奇妙な出来事だった。そしてエレベーターが到着したら6人の人が乗っていて安堵感から涙が出そうだったが堪えた。

「ひいぃ!」

「君!おい!」

「キャーー!」「うわぁ!」

と、エレベーター内で悲鳴があがった。「え…」と、ゆっくり振り返るとみんなの視線は俺の足元を見ている。みんな顔が歪んでいる。まさか…と自分の視界を足元にゆっくり向ける。

すると、誰もいない。左から右へ一回転するも誰もいないし何もない。

「はぁ…よかった…」と顔をあげるとエレベーター内は俺1人だった。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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