中編4
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奇怪な兄

だいぶ、エグいので注意を。

私の兄は、養子です。

うちの親は長年子供が出来ずせめて産めなくても…と仲良くしてた親戚の両親が交通事故で亡くなり兄を残し他界。うちの両親は兄を養子にしました。それから、すぐ母が妊娠し私が生まれました。

兄は、とても優しく両親は自慢の息子と褒めてたし私も頼もしい兄だと思っているふりをしていました。

不思議なことに兄が、時々見せる冷たい目で何度となく金縛りに合いました。今で金縛りなんて言えますが当時は『兄は僕の時間を止めれる』そう思っていた。だから喧嘩なんか、したらどうなるやら…と、頼もしさとは裏腹に敵に回すと…

私が幼稚園のときに、小学生数名から石を投げられ怪我をしたときは私の上に被さり助けてくれました。そのあと、リーダー格の男の子が両腕を骨折したそうです。兄は笑いながら、話してくれました。

兄が何をしたかは、知りませんが交通事故らしいのです…。

普段は、かなり温厚な性格で明るく頭は普通だったけどスポーツ万能でした。

しかし、怒らせたり不機嫌だと身近なとこで災難が続きました。

そんな兄が祖父の家で私と手伝いをしていた夏。

朝方早く、兄が寝床にいないことに気付くと薄暗い外に明かりがついていました。

『なんだろ…朝早くに…』と起きてみると養鶏している柵に兄がいました。

全裸です。

何やら笑みを浮かべながら鶏を追いかけ回しています。僕は、牛舎の陰から見ていました。

『クワワッ!…コケッ…』と鶏達が叫ぶ。そして一匹の鶏を捕まえて、牛舎へ歩いてきた…やばい…

自分の兄なのに恐怖で見つかることを身体が勝手に拒んでいました。兄は狐のように口の両端が釣り上がり僕がいる場所まで来ず、機械関係がなおされている場所へ。

『ウィーン、ガガガガ…』と聞いた音が…まさか…急ぎ、でもゆっくりと見に行くとテーブル上で木を切断するチェンソーの機械の電源を入れてました。

しかし、電源を入れたのに辺りを見渡して壁にかかる棚から何かを取りました。

『なんだろ…』と、身を乗り出して見ると手には鉈(なた)を持っていました。

『これ、やめた』とチェンソーを切る。

そして脚立を使い、鶏を吊り下げると

『ネンネンコロリヨ…オコロリヨ…』と子守唄を口ずさみ、頭をグラグラと左右に揺らしていた。

完全に人間をやめてしまった悪魔にしか見えなかった。

手に持つ鉈は、奮えていた。武者震いのような興奮を覚えているようだ…狐のような釣り上がった口からは、唾液が垂れている。

僕の呼吸する音が大音量で兄に聞こえているんじゃないか…冷や汗が止まらずTシャツは、濡れていた。

口ずさんでいた子守唄が止んだ。そして時間が止まったかのように兄は鶏を見たまま固まっている。

『どうした…』心臓が爆発するくらいの心拍の音量がドクドクと聞こえる。

次の瞬間、兄は鉈を鶏の首にピタッとつけたかと思うと

『やめた…』と、脚立に上り鶏を天井からおろし左手で逆さに持ったまま地面に ポトリと落とした。明らかに殺すのを躊躇った瞬間だった。たぶん、殺すと祖父に怒られる…そう思ったんだと思う。兄は足を縛られた鶏を肩にからった。柵の方に身体を向けた瞬間

鶏の頭を持ち、鶏の身体は肩に乗っかる形でバイオリンのように首を鉈でギコギコ切り始めた。

『ネンネンコロリヨ…ハハハッ…アー…』と唄いはじめた。ただでさえぶった切る為の鉈だから簡単には切れない。血が辺り一面に飛び散る。

『グギャグギャ…ギャ』と、聞いたことのない鶏の叫び声と血が飛び散る。

ギコギコ ギコギコ ボトッ

とうとう、胴体が地面に落ち兄が『あ、終わった』と言った。

そして鶏の頭を口にくわえ込む『トサカ…ん…コリコリ』とトサカを食いちぎり地面に頭を捨てるなり、足の裏で グチャ と潰した。

『アヒャャャ!』と笑いながら、残った胴体を地面に落とすなり鉈をゴルフのクラブのように振り回し切り刻み始めた。

唾液だらけの歪んだ兄の顔は悪魔のような狐に憑かれた人形だった。

『ヒリカ…ミリ…ナリ』と意味不明な単語を繰り返していた。

頭のない鶏の胴体から血は飛び散り、羽がもげ、原形を留めないほどにズタズタになっていました。次に『ブロロ…ブンブン』と、何かの機械の電源を入れました。手にはチェンソーがありました。そして、更に切り刻み始めました。

僕は、逃げるようにその場を立ち去りました。布団にもぐるとガタガタと震えが止まらず涙も止まりませんでした。

…ふと気付き柱の時計を見ると朝の9時でした。恐る恐る、反対にいる隣で寝ていた奇人の兄の布団を見ると、目と目が合い『おはよ』と笑顔で挨拶をしてきた。

祖父は、すでに起きていて外で何やら作業をしている。さっきのは夢…夢にしてはリアルすぎた…血まみれだった兄は隣にいるが血1つ付いていない。

鶏を惨殺した機械置場にも行ったが血や羽も見当たらない。

やはり夢だったようだ。常に兄が怖いと思っていたことが現実のように現れたようだ。

今日は、祖父の兄が経営する養豚場横の竹やぶで以前台風が来たせいで散乱した竹を焼く手伝いだと祖父から聞かされ、機械置場で準備をしていた。

祖父が兄に鉈を持ってこいと言うと、兄は鉈を手に持った。

兄の手は震え、顔は狐のように笑みを浮かべていた。

怖い話投稿:ホラーテラー 肉さん  

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