短編2
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怖い話の別バージョン3

随分前(一年前)に同じタイトルで投稿してました。コンセプトは『有名な怖い話の違うバージョンを考える』です。

今回は『心霊スポットに行ったら車に手形がベットリ。』の別バージョンを考えました。前置きはこれくらいにして、どうぞ。

※完全にフィクションです。

初めて車を手に入れた時の話だ。

俺は車が来たその日に彼女を乗せてドライブへ出掛けた。

とにかく目一杯走らせたかったので、地元から少し離れた展望台に行くことにした。

到着した展望台は崖の上にあるため、自殺防止を訴える立て看があちらこちらに設置され、心霊スポットの雰囲気をしっかり醸し出している。

そのためか駐車場には何台か車が止められていた。おそらく肝試し目的だろう。

展望台へ向かい、しばらくは遠くに見える夜景を楽しんだが飽きてきたので帰る事にした。

駐車場に戻り車に乗り込もうとドアに手をかけた所で気が付く。

フロントガラス、ボンネット、いたるところに転々と強く押し付けたような手形がついている。

見たところ手形は全て外側からの物だ。多分肝試しグループのイタズラだろうと俺は判断した。

しかし彼女が悲鳴を上げそうな勢いで怯えている。場所も場所だったからこちらも気味が悪くなり、急いで市街地に戻って目に付いたガソリンスタンドに入った。

店員にも気味悪がられたがとにかく全部拭き取ってもらう。

あっという間に手形は拭き取られたが、彼女はまだ震えていた。

「もう大丈夫だよ?他にも人が居たし、ただのイタズラだって!」

「違うの…あれ…!!」

彼女が指差したソレは、フロントガラスの端にあったためか一つだけ残っていた。

呆然としていた彼女だったが、すぐに我に返り、戻ろうとしていた店員を呼び、声を荒げる。

「ちょっと!そこ拭き忘れてる!!」

「はあ、でも…。」

「早く拭いて!!」

彼女の剣幕に困った様子の店員は彼女に窓拭きを差し出した。

「これは…内側ですよね?」

その後車は一応お祓いをしてもらい、調子良く使っている。

だが、彼女とは別れた。

少なくともあの内側に残っていた手形は彼女が原因だったと、今でも思っている。

自分には心当たりはなかったし、あの手形は他のものに比べて…とても、小さかったのだから。

お粗末!

怖い話投稿:ホラーテラー セブンさん  

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