短編2
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守護霊

あまりにも、私の周りで不運が続いていた。

記憶にあるうちでは、飼っていた犬が車にはねられて死んだのが最初。

姉が会社をクビになる。

兄が離婚する。

父が倒れる。

祖父が死ぬ。

私も車にひかれて入院。

些細なことを挙げればきりがない。いくらなんでも、ツイてなさすぎる。

見舞いに来てくれた大学の友人が、私を見るなり

「憑かれてるね~」

と一言。その友人は霊感があるらしく、私のすぐ隣りにドス黒いのが見えるという。

「でもね」

友人が続ける。

「あんた守られてるよ。あんたに憑いてるのとあんたの守護霊が闘ってる。その守護霊いなかったら、とっくに死んでるよ」

守護霊と聞いたとき、母のことだと思った。

私が小学5年生のときに病死してしまった母。もうおぼろげな記憶しかないが、優しかった母。

死んでも私を守ってくれてるんだ。

退院した後、本当に久しぶりに母の墓参りに行った。

最後に墓参りに来たのは三年以上前だったか。

墓に線香を立てて、

お母さん、守ってくれてありがとう。どうか、私たちのことを守ってください。

それから、私の周りで不運なことが起こらなくなった。

見舞いに来てくれた大学の友人に会うと、

「お~、守護霊さんがやっつけたみたいだね」

「ホント!?…お母さん、ありがとう」

そう言ったとたん、その友人がギョッとした。

「…あんた、見えてたの?」

「見えないけど、守護霊って私のお母さんでしょ」

友人は少し黙っていたが、私に本当のことを教えてくれた。

「あんたに憑いてたのは、あんたの母親だよ。そして、守護霊は犬だね。」

誰も仏壇の前で手をあわせず、誰も墓参りに来なくて、なりたくもない悪霊になってしまった母。

それから私は、毎日線香をあげ、月に一度必ず墓参りに行っている。

怖い話投稿:ホラーテラー まほろばさん  

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