小6の時、もう転校してしまった子から 聞いた話。
その子の家族は転勤が多く、転校して
くる前にも3回ほど引っ越しをしている。
「前住んでた家の近所にね、」
その子は、一度だけそう言って話して
くれたことがあった。
「小さなアパートがあったの」
そのアパートは動物OKだったらしいが、
どういうわけか、一階の角部屋だけは、
住人が1ヶ月もたなかったそうだ。動物も
3週間ほどで死んでしまう。その死骸は、
ガリガリに痩せ細っていた。
住人もそうだった。
日当たりが良く寒いわけでもない。餌も
もらっていたのに何故、と他の住人は
首を傾げるばかりだった。
「一回だけね、その部屋の中が
窓から見えたことがあるの」
その子はうつむき、黙り込んでしまった。
そして、うつむいたままぽつりと言った。
「部屋の壁一面に、たくさん口があって…
“オナカガスイタ”ってゆってるの…」
怖い話投稿:ホラーテラー 翔さん
作者怖話