中編4
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般若 上

これは僕がある女性スタッフから聞いた話です。

僕がこの世で最も恐ろしいと思っているのが、「女性の怨み」です。

遠い昔、特殊な仕事をしていた女性達は、自分が慕う男性に小指や剥がした爪、髪の毛を贈ったそうです。

世界的に大ヒットしたホラー映画の「呪怨」や「リング」も、女性の怨念のお話です。

人間の潜在意識に潜む恐怖として、「女性の怨み」は刻み付けられているのかも知れません。

あれは、お店のスタッフ皆で怪談話をしていた時でした。

ある女性スタッフ(K)が…

「お婆ちゃんの話なんですけど」

と話し始めたそのエピソードは…「お婆ちゃん」の話では無かったのです。

彼女が中学生の頃のお話です。

Kさんの家族は、お父さんとお母さんとKさんの3人家族でした。

立派な一軒家に住み、そこそこ裕福な家庭だったそうです。

厳しくも優しい父親と、どんな時も娘の味方でいてくれる母親…

惜しみ無く愛情を注いでくれる両親のもとで、

Kさんは幸せに暮らして居ました。

その頃…です

母親方のお爺ちゃんが亡くなり、お婆ちゃんの面倒をKさんの家族で見る事になったそうです。

(父親方のご両親は健在)

Kさんは大好きなお婆ちゃんと暮らせる事に大喜びしました。

引越し当日、Kさんの家族全員でお婆ちゃんの荷物を運びました。

小さな市営住宅に住んでいたので、引越し業者を使わなかったそうです。

Kさんが、割れ物を新聞紙に包み、ダンボールに入れていた時です。

別の部屋で作業をしていた父親とお婆ちゃんが、

何やら大声で揉めています。

父親「これらはもう、必要ないでしょう!」

お婆ちゃん「やめて!捨てないで!お爺さんの形見なのよ〜!」

…どうやらお爺ちゃんが生前、使っていた道具や服を捨てるかどうかで揉めている様です。

…母親は自分の母と一緒に暮らせるよう、父親に頼み込んだ負い目から

何も言いませんでした…

父親「お義母さんが死んだらゴミになるんですよ!」

…この一言で、亡くなったお爺ちゃんの遺物は全て捨てられました。

この瞬間から、Kさんの家庭に亀裂が生まれたと彼女は語りました。

…引越しが終わり一ヶ月が経ちました。

そこには…与えられた部屋から、未だ申し訳なさそうにお茶の間に出て来るお婆ちゃんの姿がありました。

引越しの時の事を引きずっている様で、父親とは一言も口をききません。

自分の娘である母親に対しても、「あたしは独りでも良かった!」

…等と憎まれ口を叩く様になってしまいました。

Kさんは、大好きだったお婆ちゃんが、全くの別人になってしまったと…

悲しみのあまり、母親に泣きついたそうです。

…しばらくして

お婆ちゃんは元の明るさを取り戻して居ました。

Kさんや母親と明るく会話を楽しみ、家事も手伝ってくれる様になったのです。

…しかし、父親が家に帰ってくると、隠れるように自分の部屋に閉じこもりました。

これには父親も相当ストレスをためていた様でした。

Kさんは不安から母親に相談しました。

母親「まぁ…時間が解決してくれるわよ。とにかく明るくなって良かったじゃない」

…。

…これが間違いである事に気づくまで、時間はかかりませんでした。

数日後…

Kさん「お母さん!お風呂場になんかある!」

駆け付けた母親が見たモノは…

…お婆ちゃんのモノであろう排泄物でした。

母親がお婆ちゃんに尋ねましたが、「知らない」と言います。

…しかし、この出来事を皮切りにお婆ちゃんの奇行はエスカレートしていきました。

もはや完全に痴呆症になってしまっていたのです…

そして…

…事件は起こったのです。

その日も父親が帰って来ました。

父親「おーいご飯あるか?」

母親「それが…」

…父親が帰って来る時間に合わせて、母親は炊飯器をセットしていました。

しかし、なぜか炊飯器は加熱していなかったのです。

…Kさんは見ていました。

お婆ちゃんが、炊飯器の本体を丸洗いしていた所を…

(今は丸洗い可能の炊飯器もあるそうですが)

…Kさんはそれを両親に話してしまったそうです。

…「あの時、私が話さなかったら」…Kさんは少し泣きそうな顔をしていました。

…これが父親の限界点でした。

…父親は鬼の形相で、お婆ちゃんの部屋に向かって行きます。

…母親が泣き叫びながら父親の足にしがみつきます。

母親「あなたぁ!お願いだからそれだけはやめてぇ!」

…。

…ここでKさんは泣き崩れてしまいました。

…辛いかった光景を思い出してしまった様です。

…話を中断しました。

…続きます。

怖い話投稿:ホラーテラー 店長さん  

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