短編2
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気づいて…! 2

夢の中で無表情で手刷りに掴まりながらゆっくりと階段を上がる自分を、もう1人の自分が無心で客観的に見ていた。

どこか遠くから『きて…きて…気づいて…』と聞こえてきて、1段1段階段を上がっていくと『5』と記されたコンクリートの壁が視界に入った。

左に曲がり目の前に見えた玄関のドアノブをスッと捻った。

次の瞬間『気づいて…!』という叫び声と共に、現実に異常なまでの頭痛がし目を醒ました。

起き上がっても尚頭痛は治まらず、あまりの痛さにもがいた。

それから極力あの部屋を見ないようにした。

それでも毎日同じ夢を見て、異常なまでの頭痛に起こされた。

薬を飲んでも頭痛は治まらず、窓は相変わらず全開になったままで、夢の事もどうしても気になり、私は母にあの部屋の事や頭痛の事を話た。

そしたら『ママも洗濯物干す度気になってたの。冬なのに窓開けっ放しで、田舎でもないのに物騒よね。旅行でも行ってるのかね。気になるけど、あまり人様の事に首突っ込まないように』と注意され、それ以来話題に出すことはしなかった。

だけどそれから1ヶ月が経過した頃、団地の人が不審に思い警察を呼び鍵を開け侵入したら、その部屋のリビングで独り身の老人が座ったまま孤独死しているのが発見された。

遺体は腐敗が進み、頭部が床に転がり落ち、首の付け根には虫が集っていたとお母さんから聞いた。

その報告を受けたとき初めて、毎日夢で『きて…気づいて…!』と叫んでいたのは、きっと故人は1日でもはやく誰かに気づいて欲しかったんじゃないかと思った。

遺体が発見された次の日から頭痛はなくなったものの、引っ越す日まであたしはあの部屋に無意識に釘付けになっていた。

そして住人がいなくなり開け放された窓の向こうに見える、襖も取り外されたままの和室に、時々人影が見えたのは気のせいだったのか、それとも誰かがいたのか未だにわからないけれど、あの部屋を眺めているときの心は悲しみでいっぱいだった記憶がある。

なんだか落ちがハッキリしなかったけれど…ここまで読んでくださりありがとうございました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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