中編3
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夢の中で…

夏休み、俺は友人二人と温泉宿に旅行に行くことになった

二人を仮にAとBとしよう

その温泉宿はかなり山奥にあり、途中で道に迷ってしまい、一旦車を止めて休憩することにした

気分転換に、車を出ていい空気を吸おうと森の中を探検してみることにした

A「は〜、こんなことならもっと簡単に行けるとこにしときゃ良かったな〜」

B「まぁ、そういうなよ。…あれ?なんだこれ?」

Bが見つけたのは、小さな地蔵だった

俺「なんでこんな森ん中に地蔵が?」

B「わかんね、周りに別に何もねーのにな」

A「もしかしたら、この地蔵の下にお宝が埋まってるのかもよ?」

Aはそう言って、おもむろに地蔵を退かそうとした

A「あっ!」

Aが地蔵を退かそうと手で押したら、なんと地蔵の頭が取れてしまった

A「やっべー。壊しちゃったよ」

B「うっわ!お前、祟られるぜ?」

俺とBは笑ってAをおちょくった

A「大丈夫大丈夫、こうやって頭を元に戻しときゃバレねえって。それにこんな山奥に誰も来やしねぇよ」

地蔵の頭を元に戻し、俺たちは車に戻り宿へと向かった

なんとか宿も見つかり、温泉も料理もそれなりに楽しめた

宿に着くまでが長かったこともあり、料理を平らげると三人共すぐに眠ってしまった

朝になり、目が覚めるとAの声が聞こえてきた

A「いります…いります…いります…」

とても辛そうな表情で、何度も何度も「いります」を連呼している

Bも起きてきたので、Aがあまりにも辛そうな表情をしているので二人で起こすことにした

B、俺「おい!A!起きろ!A!」

Aはハッと目を覚ました

俺「いったいどんな夢見てたんだよ?ずっと【いります、いります】って言ってたぞ?」

Aは青ざめた顔で話し始めた

A「なんか知らない婆さんがさ、俺の頭を持って【頭いるか?頭いるか?】って聞いてきてさ。それでずっといりますって言ってたんだよ」

B「それってやっぱりさ…あの地蔵の祟りなんじゃ…」

俺「あの地蔵、なんか曰くがあるんじゃないかな?帰るとき、この宿の女将さんにちょっと聞いてみようよ」

帰り際、俺は女将さんにAの見た夢の話をしてみた

女将「それは、お前さん。頭乃神(コウベノカミ)だよ。昔この辺で戦があってね、そのとき打ち首にあった武士たちを祀った地蔵だったんだよ。帰りにお供え物でもしていきな」

そう言って女将さんは宿の奥に去っていった

俺「やっぱりあの地蔵曰く付きだったんだな。…A?どうした?」

Aは真っ青な顔をしてガタガタ震えている

そして一目散に宿を飛び出した

俺B「おいっ!A!」

俺とBは急いでAを追いかけた

Aに追い付き、震えているAを宥めた

俺「いきなりどうしたんだよ?ちゃんとお供え物すれば大丈夫だよ」

するとAは震えながら答えた

A「あいつだよ…」

俺B「え?」

A「俺の夢に出てきた婆さん、あの女将さんだったんだよ」

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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