短編2
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最愛の人へ1

昨年4月、私の彼の親友が交通事故で亡くなりました。

訃報を聞き、慌てて部活を終えて私は学校を飛び出しました。

向かった先は彼の家。

夜道を全力で走りました。

家に着いた頃、彼は布団に死んだように倒れ、ただただ涙を流していました。

声をあげて泣く彼を、私はただ抱きしめてやることしか出来ませんでした。

今からお話しするのは、亡くなった彼の親友にまつわる話です。

親友G君は友達も多く、明るい性格だったそうです。当時は工業高校3年で、バイクが大好きだったそうです。

そんなG君にその春彼女ができました。仲が良いカップルでした。

1ヵ月記念日の前日、G君たちはデートし、プリクラに書きました。

「ずっと一緒」と。

翌日、1ヵ月記念日の夕方でした。

G君は交通事故で亡くなりました。

最愛の人を亡くした彼女さん、最高の仲間を失った学校の友人、そして家族。

突然の訃報に何がなんだかわからなくなりました。

ついさっきまでいたのに今はいない‥。

あまりに急すぎる‥。

あいつは死んでなんかない‥。

周りはG君の死を決して認めませんでした。

でもG君はもういないのです。

約束したばっかじゃん。

「ずっと一緒」って‥。

2日後、家庭の事情により他県でG君の葬儀が執り行われました。

参列したのは家族、親しかった友人、そしてG君を誰よりも愛していた彼女さん。

後に骨壷を胸に抱いて、彼女さんと友人たちは近くの海に行きました。

「G君見てる?一緒に海来れたね‥ねえ」

彼女さんは大粒の涙を流しました。

静かな海でした。

2へ続く

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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