短編2
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地獄虫2

「ダメって何が?」

父の尋常ではない様子に私が問いかける

「と、父さんな。地獄虫にもう蝕まれてるみたいなんだ」

「は?」

父の言ってる意味が分からない

今回のは家族でおばあちゃんの家に遊びに行こうって話しだった

それがいつのまにか地獄虫がどうのこうのって…

「意味わかんないよ。なんで携帯持って震えているのお父さん?」

私は汗びっしょりの父に問いかける

「綾香、お前これが携帯に見えるのか?」

「は?」

意味が分からない父が握っているのは確かに携帯電話だ

「父さんにはな、この携帯電話が人間の顔をぐちゃぐちゃにした生き物に見えるんだよ」

「へ?」

私がそう呟いた瞬間である、父が急に窓から飛び降りた

「お父さん!?」

私は叫んだ

私は自分の携帯を取り出すと119番を押した

「はい、こちら救急車。何がありました」

「あ、あの父が二階から飛び降り…」

私は今、あったことを話そうとした

次の瞬間である

バッ

後ろから父が私の携帯を取り上げた

そして

「すみません。娘のイタズラです」

父はそう救急隊員に言うと電話を強引にきった

「あれ?お父さん今、窓から落ちて…」

「はぁ?何言ってんだ綾香。俺は今、二階に来たんだぞ?」

父はそう言うと笑った

「え?」

じゃあ何、今の父は私の見間違い?

そんなはずは…

でも父は無傷でそこに確かに立っている

「見間違いだよ。寝よう」

父はそう言って電気を消した

でも私はその父の理路整然さが気味悪かった

さっきの救急隊員にたいする態度もそうだ

私は妙な違和感を感じた

今、私と父は暗い部屋で二人で寝ている

でもそこに寝ているのが父ではないような気がした

おばあちゃんは確かこの二階の違う部屋で寝ている

父が眠ったらそこにいこう

そして30分が過ぎた

父のいびきが聞こえた

私は父を起こさないようにそっと立ち上がった

そして歩こうとした時である

「どこにいくんだ綾香?」

心臓が止まるかと思った

父がいきなり立ち上がって呟いたのだ

じゃあさっきのいびきは何?

「と、トイレだよ」

私はとっさに嘘をついた

そして階段を降りた

足は自然と早足だ

それより早く家の外を確認したい

さっきの落下した父が本物の父のような気がする

そうだ。見間違いなんて有り得ない

有り得ないよ

そう思いサンダルをはいて外に出ようとした時である

「どこに行くの綾香?」

母が何かを料理しながら私に尋ねた

変だ。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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