短編2
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固定観念

フラフラと近所を散歩していたら、見慣れない神社を発見した。

「こんな所に神社があったんだ。」

と、神社の中を参拝していると、後ろから誰かがデカイ声で話かけてきた。

「おい!お前、ちょっと俺の話を聞け!」

振り返ると、そいつは鋭い目で俺を睨み付けながら言った。

「俺は神様だ。お前を助けにきた。」

俺は驚いた…神様て…

なぜなら、そいつはどう見ても普通の犬だったからだ…

神様と名乗る犬は驚く俺を見て言った。

「まあ驚くのも無理は無い。いきなり神様だなんて言われてもな……とにかく俺の話を聞け。」

俺が驚いたのはその事についてではないのだが…

まあ…とりあえず俺は犬の話を聞く事にした。

犬…いや神様は静かに話出した。

「お前、今の自分に満足しているか?うんうん、してないだろうな…なぜだか分かるか?お前は今【固定観念】に陥っているからだよ。」

一体何を言っているんだ?この犬…いや神様は…

神様の話は続いた。

「まあ固定観念と一言で言っても分からんだろうから例題を出してやるよ。

えーと…例えばだ、あるおばさんが傘をさして家から駅までの道のりを一キロ歩いた。

だが、おばさんは水に全く濡れなかった。

なぜだか分かるか?」

俺は少し考えて答えた。

「うーん…雨が降っていなかったから?」

すると神様は甲高い声で言った。

「ちがーう!!おばさんが幽霊だったからだ。

全くダメだな…じゃあ次は…えーと…例えばだ、ある男がパラシュートも何も持たずにヘリコプターから飛び降りた。

しかし男はかすり傷もせず生還した。なぜだか分かるか?」

俺が答える。

「うーん…陸で止まっているヘリコプターだったから?」

すると犬はさっきより高い声で言った。

「ちがーう!!男が幽霊だったからだ。

もう…ちゃんとやってよ…じゃあ最後の問題だ。

夜道を歩いていると後ろから呼び止められた…振り返ると、大きなマスクをした女が(私、綺麗?)と尋ねてきた…この女が何者か分かるか?」

俺は答えた。

「それは…口裂けおん…いや幽霊だな!」

神様は呆れた声で言った。

「ちがーう…その女は酔っぱらいのOLだろうが…

なっ…お前は固定観念に陥ってるんだよ…

このままじゃ道を間違えて進んじゃうぞ。」

俺はこの犬野郎の言ってる事が納得出来なかった…

続く

怖い話投稿:ホラーテラー ビー玉さん  

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